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世界文学:中米・南米編
メキシコ
ペドロ・パラモ、フアン・ルルフォ、1955年、メキシコ
顔も知らぬ父親ペドロ・パラモを探して、主人公がコマラという死者ばかりの町に辿り着く。ガブリエル・ガルシア=マルケスなどラテンアメリカの作家たちに重大な影響を与えた作品。
弓と竪琴、オクタビオ・パス、1956年、メキシコ
「詩」とは何か? ポエジーとは何か? 「詩的なるもの」とは何なのか? など、作者の詩論が展開される。作者は1990年ノーベル文学賞受賞。
乾杯、神さま、エレナ・ポニアトウスカ、1969年、メキシコ
メキシコ革命を兵士として生きた後、労働者として、変動するメキシコシティの地を這って生きるヘスサという女性は何者か?一個人の証言を多声的な〈女性〉の物語へと昇華させたルポルタージュ文学の傑作長編。作者は2013年セルバンテス賞受賞。
テラ・ノストラ、カルロス・フエンテス、1977年、メキシコ
旧世界、新世界、別世界の三部構成の叙事詩。フェリペ2世ほか実在の人物と、セレスティーナなど文学作品の登場人物が入り乱れ話が展開される。本作でラテンアメリカ文学最高の名誉ロムロ・ガジェゴス賞受賞。
愛のパレード、セルヒオ・ピトル、1984年、メキシコ
1910年代は世界に先駆けて社会革命を経験し、40年前後からは大戦を逃れた大勢の亡命者を受け入れた時代を背景に、ナンセンスと不条理、知的な諧謔に満ちた“疑似”推理小説。2005年セルバンテス賞受賞。
老いぼれグリンゴ、カルロス・フエンテス、1985年、メキシコ
メキシコ革命の戦塵の中に消息を絶ったアンブローズ・ビアス(グリンゴのモデル)の謎を描く。アメリカ批判の書。1987年セルバンテス賞受賞。
クリングゾールをさがして、ホルヘ・ボルピ、1999年、メキシコ
実在するノーベル賞級科学者たちが登場する歴史スリラー。ラテンアメリカ新世代の旗手による最高傑作で作者の国際的評価を確立させた(世界25ヶ国語以上に翻訳)。
グアテマラ
ポポル・ヴフ、1550年頃文字に、グアテマラ
グアテマラのキチェ族に伝わる神話と歴史を綴った文書。マヤの創世神話などを含む。
グアテマラ伝説集、ミゲル・アンヘル・アストゥリアス、1930年、グアテマラ
インディオの物語や伝説と、古代マヤの研究を融合した魔術的リアリズムの傑作。グアテマラを超えてラテンアメリカの民衆の伝統意識に形を与えた。作者は1967年ノーベル文学賞受賞。
大統領閣下、ミゲル・アンヘル・アストゥリアス、1946年、グアテマラ
独裁者を描いた小説の中で最も有名な作品の一つで、独裁政治とその社会への影響を探索。ラテンアメリカ文学の礎となった記念碑的小説。作者は1967年ノーベル文学賞受賞。
エルサルバドル
吐き気、オラシオ・カステジャーノス・モヤ、1997年、エルサルバドル
祖国エルサルバドルへの圧倒的な罵詈雑言と呪詛ゆえに、母が息子(作者)に対する犯罪予告を受け、現代ラテンアメリカ文学の鬼才が亡命を余儀なくされた問題作。
ニカラグア
ルベン・ダリオ物語全集、ルベン・ダリオ、19世紀後半~20世紀初頭、ニカラグア
19世紀のラテンアメリカで最も偉大な詩人、ニカラグアの国民的英雄の86作品を収録。独特の言葉のリズム感、音楽性、きらめく色彩感覚から作り出されるエキゾチックで幻想的な世界。
ただ影だけ、セルヒオ・ラミレス、2002年、ニカラグア
1979年、ソモサ独裁政権の崩壊を目前に控えていたとき、ソモサの私設秘書官が革命軍に捕えられ民衆裁判にかけられる…。歴史的事件の裏側をフィクションの力で再構築する現代ラテンアメリカ文学の新たな傑作。
コスタリカ
コスタリカ選詩集―緑の祈り、カルロス・フランシスコ・モンヘ、2019年和訳版刊行、コスタリカ
コスタリカの現代詩を代表する1人の作者によるアンソロジー。自然豊かな平和国家として名高い同国の詩人たちが印してきた詩の百年の軌跡をたどる。
キューバ
ホセ・マルティ選集、ホセ・マルティ、19世紀、キューバ
スペインからの独立を求めて戦った建国の英雄で、首都ハバナの国際空港の名前にもなっている作者の選集。後世の思想家、革命家、文学者等に多大な影響を与えた。エルネスト・ゲバラも影響を受けた。
失われた足跡、アレホ・カルペンティエル、1953年、キューバ
大都会で虚しい日々を過ごしている音楽家が、インディオの幻の原始楽器を探しに南米の奥地へと旅立つ。近代から未開へと時間が逆行する不思議な旅。現代ラテンアメリカ文学最高傑作の一つ。
パラディーソ、ホセ・レサマ=リマ、1966年、キューバ
革命前のキューバ社会を舞台に、五世代にわたる一族の歴史を、豊穣な詩的イメージとことばの遊戯を駆使して描いた、ラテンアメリカ文学不滅の金字塔。
TTT:トラのトリオのトラウマトロジー、ギリェルモ・カブレラ・インファンテ、1967年、キューバ
1958年、革命前夜のハバナを舞台にした「夜も眠らぬ」歓楽街の物語。極貧労働者に購われた特権階級の遊び場で、作家は何を言おうとしたのか?1997年セルバンテス賞を受賞。
犬を愛した男、レオナルド・パドゥーラ・フエンテス、2009年、キューバ
舞台は1977年のハバナ。物書きのイバンが出会った犬を愛した男は、トロツキー暗殺の真相を打ち明けはじめる…。イデオロギーの欺瞞とユートピア革命が打ち砕かれる歴史を描いた現代キューバ文学の金字塔。
ハバナ零年、カルラ・スアレス、2012年、キューバ
1993年の経済危機下のキューバで、数学教師のジュリアは、ハバナで初めて電話が発明されたとするイタリア人発明家の自筆文書の存在を知る。その文書を軸に数学とミステリーを織り込んだ作者の代表作。2012年カルベ・ド・ラ・カリブ賞受賞。
ジャマイカ
七つの殺人に関する簡潔な記録、マーロン・ジェイムズ、2014年、ジャマイカ
ジャマイカの英雄ボブ・マーリー暗殺未遂事件(1976年)の犯人は何者なのか?ギャング、政治家、記者、CIA、亡霊など七十人が織りなす、公には語られない歴史。2015年ジャマイカ出身作家として初のブッカー賞受賞。
ハイチ
朝露の主たち、ジャック・ルーマン、1944年完成(死後出版)、ハイチ
15年間のキューバへの出稼ぎから帰郷した主人公が、故郷の村を救う物語。若き生の躍動を謳歌する、緊迫と愛憎の傑作長編。ハイチ文学の父が37歳で他界する1944年に完成させた代表作。
月光浴 ハイチ短編集、フランケチエンヌ、2003年和訳版刊行、ハイチ
ハイチ出身作家たちによるアンソロジー。巻末の付録と合わせ、ハイチの歴史と文化について深く理解するための重要な一冊。
ドミニカ共和国
オスカー・ワオの短く凄まじい人生、ジュノ・ディアス、2007年、ドミニカ共和国
オタクの息子を心配した母親が彼を祖国ドミニカへ送り込むと、彼は一族の呪いを知ることになった。英語とスペイン語、マジックリアリズムとオタク文化の激突。全米批評家協会賞(2007年)及びピュリツァー賞(2008年)受賞。
グアドループ(フランス海外県 @ カリブ海)
生命の樹、マリーズ・コンデ、1987年、グアドループ(フランス海外県 @ カリブ海)
曾祖父と母の生涯を中心に、曾孫/娘ココが語るルイ家四代の“悪辣な生”は、一家系の物語をこえたカリブ海現代史。作者は2018年ノーベル文学賞の代替賞ニュー・アカデミー文学賞。
セントルシア
オメロス Omeros、デレック・ウォルコット、1990年、セントルシア
『イリアス』や『オデュッセイア』で知られるホメロスをオマージュしながら、カリブ海地域の歴史、文化、神話を織り込んだ叙事詩。作者は1992年ノーベル文学賞受賞。
コロンビア
百年の孤独、ガブリエル・ガルシア=マルケス、1967年、コロンビア
ブエンディア一族が蜃気楼の村マコンドを草創し、繁栄を経て、やがて滅亡するまでの100年の物語。作者は1982年ノーベル文学賞受賞。
コレラの時代の愛、ガブリエル・ガルシア=マルケス、1985年、コロンビア
19世紀末から20世紀初頭にわたる内戦とコレラの蔓延する時代を背景に、初恋の女性を51年待ち続けた男の壮大な愛の顛末を描いた物語。
雌犬、ピラール・キンタナ、2017年、コロンビア
子どもをあきらめ女が、一匹の雌犬を娘の代わりに溺愛することから、奇妙で濃密な愛憎劇《トロピカル・ゴシック》が幕を開ける。スペイン語圏の錚々たる作家たちが絶賛!
ベネズエラ
ドニャ・バルバラ、ロムロ・ガジェゴス、1929年、ベネズエラ
20世紀初頭のベネズエラの平原を舞台に、文明と野生の対立を描いたベネズエラ文学の代表作。ラテンアメリカ文学においても古典的名作。
作者の名を冠した「ロムロ・ガジェゴス賞」はスペイン語圏を対象とし、マリオ・バルガス・リョサ『緑の家』、ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』などが受賞している。
トリニダード・トバゴ
ミゲル・ストリート、V・S・ナイポール、1959年、トリニダード・トバゴ
「ミゲル・ストリート」で生まれた十七の人生の物語は、みな風変わりで、そしてちょっと切ない。ポストコロニアル文学の源流に位置する作者の実質上のデビュー作。作者は2001年ノーベル文学賞受賞。
ペルー
深い川、ホセ・マリア・アルゲダス、1958年、ペルー
ペルーの国民的作家として敬愛される作者の代表作。アンデス山中で、白人に生まれながらインディオの間で育った少年の目に、先住民差別の現実はどう映ったか?
緑の家、マリオ・バルガス・リョサ、1966年、ペルー
ペルーのアマゾン地域などを舞台に娼婦、原住民、軍、僧院など5つの物語が同時進行する物語の交響曲。作者の作家的地位を確立したラテンアメリカ文学の傑作。作者は2010年ノーベル文学賞受賞。
楽園への道、マリオ・バルガス・リョサ、2003年、ペルー
二人の反逆者、ゴーギャン(画家)とトリスタン(祖母かつ社会革命家)の生涯を交互に描き進めることで、二人の生き様が重なり力強く迫ってくる圧倒的な名作。作者は2010年ノーベル文学賞受賞。
ボリビア
ぼくは書きたいのに出てくるのは泡ばかり、ペドロ・シモセ、1972年、ボリビア
キューバ革命を背景に、遙か遠くの異郷から、故国の風景と人びとを謳った詩集。作者は日系ボリビア人。1999年国民文化賞。
パラグアイ
汝、人の子よ、アウグスト・ロア=バストス、1960年、パラグアイ
1860年代から1930年代のチャコ戦争までの政治エリートと、抑圧されたパラグアイの間の混乱を描いた。パラグアイ史上最も著名な作家であり、ラテンアメリカ作家の中でも最重要人物の一人の代表作。1989年セルバンテス賞受賞。
ウルグアイ
はかない人生、フアン・カルロス・オネッティ、1950年、ウルグアイ
一人の男が人生の悲惨から逃れるために空想した架空の街サンタ・マリアの登場するメタフィクション的小説。ラテンアメリカ文学「ブーム」の先駆的作品として高く評価された。
収奪された大地 ラテンアメリカ五百年、エドゥアルド・ガレアーノ、1971年、ウルグアイ
世界史や官製の歴史が無視、あるいは隠蔽してきた無数の事実をちりばめながら、過去五百年ラテンアメリカが外国によって開発=収奪されてきた様を描き出したラテンアメリカ史の古典。
チリ
ネルーダ詩集、パブロ・ネルーダ、20世紀、チリ
チリの国民的詩人の詩集。ガブリエル・ガルシア=マルケスは「どの言語の中でも20世紀の最高の詩人」と称えた。作者は1971年ノーベル文学賞受賞。
ペルソナ・ノン・グラータ: カストロにキューバを追われたチリ人作家、ホルヘ・エドワーズ、1973年、チリ
キューバ・カストロ政権を批判する代表的書物として世界的に知られるノンフィクション。《記憶の文学》と呼ぶほかない、独自のジャンルを築いたエドワーズ文学の真骨頂。1999年セルバンテス賞受賞。
精霊たちの家、イサベル・アジェンデ、1982年、チリ
前世紀末からチリ・クーデターまでの一世紀を舞台に、三世代の女たちの運命を描く、幻想と恐怖と笑いに充ちみちた年代記。作者は2012年アンデルセン文学賞受賞。
パウラ、水泡なすもろき命、イサベル・アジェンデ、1994年、チリ
28歳のある日突然昏睡状態に陥った娘パウラへ向けて、目覚めたときに途方にくれないですむように、家族の歴史や自らの半生、そして美しき娘の記憶を語りかける。作者が最高傑作と呼び、世界各国でベストセラーとなったノンフィクション。
2666、ロベルト・ボラ―ニョ、2004年、チリ
謎のドイツ人作家アルチンボルディの作品に魅せられた四人の研究者の物語から始まる全五部からなる物語。文学の新たな地平を切り拓き、世界的評価も得ている、遺作にして最高傑作。
ネルーダ事件、ロベルト・アンプエロ、2008年、チリ
探偵のカジェタノは革命指導者で国民的詩人のネルーダと出会い、ある医師を捜してほしいと依頼されるが、その依頼には別の目的が隠されていた。チリでベストセラーを記録した話題作。
パタゴニア
パタゴニア、ブルース・チャトウィン、パタゴニア(1977年、イギリス)
幼少期に見た一片の毛皮に魅せられ、パタゴニアへと赴いた旅を描く。見果てぬ夢の物語。紀行文学の新たな古典。
アルゼンチン
マルティン・フィエロ―パンパスの吟遊ガウチョ、ホセ・エルナンデス、1872年、アルゼンチン
スペインからの独立に主要な役割を果たしたガウチョ(牧童)の生活風景を歌った叙事詩。「アルゼンチンの聖書」とも呼ばれ、アルゼンチンの国民文学と称される作品。
伝奇集、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、1944年、アルゼンチン
東西古今の伝説、神話、哲学を題材とした短篇集。文学と哲学の交差点で認識の限界を探求する。
蜘蛛女のキス、マヌエル・プイグ、1976年、アルゼンチン
ほぼ全編が刑務所の監房で同室になった2人の対話形式で綴られる。やがてお互いを理解しあい、両者の心は急速に近づくが―。ラテンアメリカ圏で幅広い人気を持つ作家のベストセラー小説。
モーターサイクル・ダイアリーズ、エルネスト・チェ・ゲバラ、1995年、アルゼンチン
アルゼンチン出身の政治家、革命家チェ・ゲバラの若い頃の南米大陸旅行記。各地で困窮する人々を目撃したことが、彼を革命戦士へと変えて行く。
文学会議、セサル・アイラ、1997年、アルゼンチン
小説家でマッド・サイエンティストの主人公が、文学会議に出席する文豪のクローン作製を企み大惨事になる物語。作者は現代アルゼンチンを代表し世界的名声を誇る。
吹きさらう風、セルバ・アルマダ、2012年、アルゼンチン
アルゼンチン辺境で布教の旅を続ける一人の牧師が、故障した車の修理のために、とある整備工場にたどりつく。感傷にも甘さにも寄りかからない凛とした物語世界。各国語への翻訳も進み国際的な評価を得た。
ブラジル
ドン・カズムッホ、マシャード・ジ・アシス、1899年、ブラジル
偏屈卿と呼ばれた男の、数奇な?自叙伝?ブラジル文学の頂点。ブラジルでは「文学史上、最大の文豪」と高く評価され、紙幣にもなっていた作者の代表作。
大いなる奥地(ローザ ドノーソ)、ジョアン・ギマランエス・ローザ、1956年、ブラジル
20世紀の最も重要な作家の1人と評価される作者の代表作。ブラジル人にとってはユリシーズにも比すると考える者もいる。
星の時、クラリッセ・リスペクトル、1977年、ブラジル
地方からリオのスラム街にやってきた天涯孤独のタイピストは、自分が不幸であることを知らなかった。23言語で翻訳され世界的再評価の進む奇跡の文学。
アルケミスト、パウロ・コエーリョ、1988年、ブラジル
羊飼いの少年がエジプトのピラミッドに隠された宝物を探しに旅をする物語。世界で3000万部売れ文化現象となった。
短編集
20世紀ラテンアメリカ短編選
20世紀後半に世界的ブームを巻き起こした南米文学の傑作短編を16作収録。日本でもなじみ深いガルシア=マルケス、バルガス=リョサ、先行世代のアストゥリアス、パス、ポスト・ブームのアジェンデ、アレナスなど。
ラテンアメリカ傑作短編集
ラテンアメリカ文学の発展過程を見通せるように編纂された短編集。全18作(本邦初紹介作品含む)。ラテンアメリカ文学の特徴と文学史的変遷が作品を通して理解できる。
ラテンアメリカ傑作短編集(続)
前作の続編。10カ国の作家の16の短編を収録。ラテンアメリカ文学の多様性と深みを理解するための貴重な作品集。
ラテンアメリカ五人集
ラテンアメリカ文学の広く深い魅力を凝縮した作品集。マリオ・バルガス=リョサ『小犬たち』、ホセ・エミリオ・パチェーコ『砂漠の戦い』、ミゲル・アンヘル・アストゥリアス『砂漠の戦い』、並びにカルロス・フエンテス、オクタビオ・パスの詩や短編を収録。
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