名刺代わりのノンフィクション10選

名刺代わりのノンフィクション10選 名刺代わりの10選

私の人格形成に影響を与えた本、私の人生経験や現在の価値観に合う本という視点で選びました。

(好きな本10選、おすすめの本10選ではありません)

胸懐、TAKURO

「永遠なんてない」の書き出しで始まる、GLAYのリーダーTAKUROさんの物語。この書き出しで私の人生観が変わり、生きるのが楽になりました。

永遠はないから今この瞬間を大切に、悪いことも永遠には続かないから大丈夫、過去に作られた常識も永遠に正しくはないから考え方は柔軟に変えよう等々、汎用性が高い座右の銘です。

「永遠はない」人生はこれだけ覚えておけば大体OKと思っています。

(略)GLAYもまた、壊れものであることを、永遠ではないことを、意識しているからだろうと思う。

何か問題が起こったとしても、争わずにそれを解決する方法はいくらでもある。百通りは見つけてみせる。

GLAYでいられる一秒一秒を、諍いや争いのために、無意味に消費してしまいたくはない。

われ敗れたり、米長邦雄

この本単体と言うより2012〜2017年に行われた人間vsAIの電王戦への入口として大切な一冊。全てはここから始まりました。

激強のAIと必死に戦う棋士の姿に涙した人は数知れず(将棋は詳しくないけど私も泣きました)もちろん開発者の方々も素晴らしかったです。

人間vsAIの将棋電王戦は、AIが人間を越えて行くたった一度しかないタイミングを奇跡的に捉え、人間が自身の存在意義を賭けて戦うときの、究極の喜怒哀楽が表現された最高の人間ドラマ、最高の人間賛歌でした。人間最高!

また、将棋界は一般社会より先にAIと戦い、敗れ、共存のステージまで到達してるので、AIとの向き合い方を考えるときは将棋界が参考になると思います。

タイトルの『われ敗れたり』も潔くて好きです。将棋の棋士が投了するときみたいに、私も「負けました」が言える人間でありたいです。

さらに語りたいこと
研究室の片隅でひっそりとAIが人間を超えていた可能性もあった中で、その過程を電王戦という形で一般社会も巻き込んで共有できたことに、電王戦の大きな価値がありました。

AIは無なのでAIと向き合うことは自分と向き合うこと。人間はAIに負けるとどうなるのか?自分が負けたときどうする?一般社会より先を行っている将棋界が参考になると思います。

人類代表として戦った当時の佐藤天彦名人は本当に立派で感動しました。負けた後の記者会見での堂々とした受け答え。名人とは将棋が強いだけの人ではないのですね。

自分がAIに負ける日が来たら、あのときを思い出し、少しでもあの姿に近づけるようにしたいです。人としてのお手本がそこにありました。人類代表が佐藤天彦名人で本当に良かったです。

ボクの音楽武者修行、小澤征爾

1959年、西洋音楽を知るためには現地の人を知る必要があると考え、スクーターと共に貨物船で1人渡仏。古き良き時代の旅。

運命の導きか、人の勧めで試しに受けた指揮者コンクールで1位になり、信じられないサクセスストーリーが始まります。

でも成功の記載はあっさりしていて、そんなの通過点と言わんばかり。数々の伝説(天然?)エピソードと合わせて、ガチのスターは最初から格が違うのが面白いです。

まったく知らなかったものを知る、見る、ということは、実に妙な感じがするもので、ぼくはそのたびにシリと背中の間の所がゾクゾクしちまう。日本を出てから帰ってくるまで、二年余り、いくつかのゾクゾクに出会った。

これは本書の書き出しで、私はここを読んだときにゾクゾクしてしまいました。世界を旅するゾクゾクは、本を読むことでも味わえると思っています。本を読むことは時空を超えて旅すること。これからもゾクゾクを求めて本を読んでいきたいです。

We Have a Dream 201カ国202人の夢×SDGs

世界201ヵ国202人の夢をSDGsの切り口でまとめた本。20世紀はキング牧師のI have a dreamでしたが、21世紀はみんなのWe have a dreamになりました。

今の世界の若者は何に問題を感じてどんな夢を持っているのか?自分が行ったことのある国、行ってみたい国、存在を知らなかった国。まるで世界を旅して現地の若者の話を聞かせてもらっているかのようです。

みんなしっかりしていてすばらしい。私のようなおじさんは若い人から学ばないといけないと思わされました。そのことを忘れないよう、自分への注意喚起になる大切な1冊です。

以下はアマゾンからのサンプル画像です。

We Have a Dream 201カ国202人の夢×SDGs_サンプル

茶の本、岡倉天心

日本の思想家/美術批評家の岡倉天心が、西洋に日本を紹介するため、1906年のNYにて英語で出版。日本人の精神性について書いた本です(茶道の作法を教える本ではありません)。

世界を旅したり、グローバル企業で外国人と仕事をして感じた、彼らと自分の違い、自分の中にある日本人として当たり前の感覚。

それらがどこから来てるのか?その答えがこの本にありました。自分のルーツを見つけた気がしてうれしくなった本です。

少し長いですが以下に引用します。

日本が鎖国によって、世界から長く孤立していたことは、独自の感性を見極めることの助けとなり、茶道は大きく発展していった。私たちの住まい、習慣、衣食、陶器や漆器、絵画、そして文学に至るまですべてに茶道の影響がみられる。日本文化の研究をするものは茶道の存在を無視することはできないだろう。

茶人が芸術の分野に与えた影響の大きさも、それが人の生きざまに与えた影響に比べれば小さいものだ。礼節を重んじる社会の風習はもちろん、日常のこまごました決めごとにも茶人たちの存在が感じられる。和食の繊細な料理もその供し方も、その多くは茶人たちの創案である。彼らは日本人に、地味な色の服だけを着るように教えた。花に接するときの正しい精神も教えてくれた。素朴さを愛する自然な心を大切にせよと説き、謙譲の美徳を示した。こうした教えを通じて、茶の心は日本人の生活に浸透していったのである。

元々は英語の本ということもあり、個人的にはこの日英対訳版(左右見開き)が気に入っています。

茶道教室での経験
東京住みたったときは1年ほど茶道教室に通っていて、今思うとすごく良い経験になりました。

茶道教室は、お稽古の前後に扇子を自分の前に置いて線を引き、お辞儀しながら「よろしくお願いします」「ありがとうございました」。

これらがスイッチになって、色々面倒臭い現実を忘れられる、茶室という聖域に出入りできる感覚が好きでした。

ビッグ・クエスチョン、スティーブン・ホーキング

イギリスの物理学者スティーブン・ホーキングさん最後の著書。世界40カ国以上で発売。

  • 神は存在するか?
  • 宇宙に人間以外の知的生命体はいるか?
  • タイムトラベルは可能か?
  • AIは人間より賢くなるか?

など10のビッグクエスチョンに博士が答えて行きます。

特に刺さったのは宇宙移住の話。そんなのSFだけのこと、人間は地球に住むもの、と思い込んでいたので目が醒める思いでした。

思い込みにとらわれずもっと自由に考えれるようになりたい。改めてそう思うきっかけになり読んで良かった本です。

でももっと刺さったのは、なぜビッグクエスチョンが必要なのか?に対する博士の答えでした。

大きく考えているとき、私達は国籍、宗教、肌の色、性別等々を全く考えていない。地球人としてこの感覚がとても大切だと思いました。

冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見、ジム・ロジャーズ

筆者はウォール街の伝説の投資家の1人。37歳でFIREし世界旅行に出発します。

前作『冒険投資家ジム・ロジャーズ世界バイク紀行』は世界1周目、52ヵ国バイクの旅でした。今作は世界2周目、116ヵ国クルマの旅です。陸路だからこそ得られる体験談には飛行機の旅では得られない深みがあります。

世界を旅して感じた事を投資に活かすのが筆者のスタイルでもあります。伝説の投資家は何に注目してどう考えるのか?とても勉強になりました。

そして戦乱、砂漠、ジャングル、ロシアマフィアなど命ひとつでは不安になる程の大冒険。人が羨む程の資産を手に入れながら守りに入ることなく情熱のままに旅する姿勢はとてもかっこいいです。

もしこの旅が私を殺すなら、私は喜んで死ぬだろう、情熱を追いかけながら。ポケットの中のほんの少しの余分なドルと一緒にいつの日かウォール街で死ぬよりいい。

自分の残り時間を意識する年齢になった今、以前よりここが刺さります…

ラテに感謝!、マイケル・ゲイツ・ギル

長年勤めていた一流企業を突然クビになった60代男性の実話。順風満帆なエリート街道を歩んできた筆者は、それゆえか傲慢な性格になり、スターバックスの仕事をどこかで見下していましたが、他に行ける会社もなく、お金のためにスターバックスで働き始めます。

しかし、ゲスト(お客様)にもパートナー(従業員)にも、尊敬と尊厳を持って接する、そんな企業文化を持つスターバックスで、筆者は真の幸せを見つけることになります。筆者の人生を変えたスターバックスの働き方とは?

私はスタバでバイトしたことはないのですが、10年以上アメリカの会社(転職もして4社)に勤めているので、完全一致ではないにしろ根底にある部分では、会社の雰囲気、教育は多分こんな感じだろうなって個人的にわかりみが深いです。

と言うか、仕事関係なくスタバの店員さん達は人と接するときの私のお手本でいつも勉強させてもらってます。

英語版もおすすめ
この本は初級者向けの洋書を探しているけど子供向けの本はイヤという人にもおすすめです。仕事や職場のことを考えさせられる深さやほっこり感動できる内容がシンプルな英語で書かれています。オーディブルも聞きやすい英語でおすすめです。自分にも洋書が読める!聴ける!という自信を得やすいですし、スターバックスにも行きたくなります。

死ぬ瞬間の5つの後悔、ブロニー ウェア

オーストラリアの緩和ケアの看護師さんが、死ぬ前に人が語る後悔トップ5をまとめた本です。

  1. 自分の生きたい人生を生きればよかった(他人が期待する人生ではなく)
  2. あんなに頑張って働かなければよかった
  3. 自分の気持ちを伝える勇気を持てばよかった
  4. もっと友達と連絡を取ればよかった
  5. もっと自分を幸せにしてあげればよかった

一時期ネットでバズったこともあり、結論自体は目にしたことがある方もいるかもしれませんが、患者さん達の実際のエピソードを読むことで、5つの結論が未来の自分のこととしてリアルに感じられます。

有名な2chのコピペも貼っておきます。

兄者は10年後にはきっと、「せめて10年でいいから戻ってやり直したい」と思っているのだろう。今、やり直せよ。未来を。10年後か、20年後か、50年後から、戻ってきたんだよ。今。

年収90万円で東京ハッピーライフ、大原扁理

高卒の筆者が、3年間の引きこもり生活と、海外一人旅を経てたどり着いた答え。自分が漠然と考えていた事を既にやってる人がいて、地方移住やほぼニートの夢に勇気を貰えた本です。

運よく海外出張に行かせてもらったり、海外でのオフィスや現地友人宅で在宅勤務をさせてもらった経験から、筆者の言うとおり世界のどこでも生活は東京と変わりませんでした。

そこで私は地方で200万円の物件を購入して、今は管理費と固定資産税で仮想家賃≒1万円。自炊すれば月5-6万円で普通に、8万円(≒年収100万円)もあれば余裕で暮らせます。本当は人間1人が1年生きるのにお金はあまり必要なくて、生活水準を下げてる訳ではなく、今までが必要以上だっただけ。私にとっては読書、散歩、睡眠ができれば人生は優勝です。

あくまで人それぞれですが、私にとっては、東京港区でのキラキラグローバル人材ライフよりも、地方でほぼニートゆるゆる読書ライフの方が楽しいと本気で思っています。大都会でハッピーな人はさておき、辛い場合は地方にも選択肢はあるのでご参考までです。いろんな生き方があっていい。読書が好きな人には合うと思います。

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