この記事は『洋書大好き!おすすめ100選』の筆者が、同じく大好きな洋書Audibleについて、熱く語っていくものです。
洋書が大好きで、人生の一部として日常的に読んでいて、最近は活字よりもAudibleが優勢になっていたりもするのですが、
そんなAudible大好き人間の私からあなたへ、洋書Audibleの魅力を伝えられたらと思います。
Audible未体験の方は、30日間の「聴き放題」無料体験ができるので、ぜひお気軽に試してみてください。
既にAudibleの魅力をご存知の方は、本記事で紹介するおすすめを新たな作品との出会いにし、楽しんでいただければうれしく思います。
- Audible作品の選び方
- Audibleでの英語勉強法
- Audibleの無料体験と退会方法
- 洋書Audible「聴き放題」作品の一例と検索方法
- おすすめの洋書Audible、イチオシ10選
- Audibleで英語多聴:おすすめ50選
- 入門編のおすすめ5選
- 初級者向けのおすすめ10選
- 中級者向けのおすすめ15選
- The Pillow Book 枕草子
- Elon Musk
- Becoming マイ・ストーリー
- The Midnight Library
- Daisy Jones & The Six
- More Myself: A Journey
- A Man Called Ove
- Me Talk Pretty One Day
- Wow, No Thank You.
- I Thought My Father Was God: National Story Project
- With the Fire on High
- Alice’s Adventures in Wonderland 不思議の国のアリス
- Animal Farm 動物農場
- Silence 沈黙
- At the End of the Matinee マチネの終わりに
- 上級者向けのおすすめ10選
- Harry Potter and the Philosopher’s Stone ハリー・ポッターと賢者の石
- Hitchhiker’s Guide to the Galaxy 銀河ヒッチハイクガイド
- Anna Karenina アンナ・カレーニナ
- The Queen’s Gambit
- Dear Girls
- Kitchen Confidential: Adventures in the Culinary Underbelly
- A Promised Land 約束の地
- Queen of Our Times
- No Longer Human 人間失格
- Sherlock Homes The Definitive Collection シャーロック・ホームズ全集
- 付録:Audibleのここがおすすめ!
Audible作品の選び方
- 興味のあるジャンルから聴く
- サンプル再生で、好みの声かを確認する
- 本人ナレーションの作品を聴く
興味のあるジャンル・作品から聴く
Audibleと英語学習に限りませんが、「好きこそ物の上手なれ」。
好きのパワーは最強ですから、それを利用しない手はありません。
Audibleは英語だけで何十万冊という作品があるので、あなたの好きなジャンル・作品が必ずあります。
大きなくくりだと、フィクションかノンフィクションか。
それぞれさらに細分化されたジャンル・作品があり、そのジャンル分けは普通の本と同じです。
普通の本を選ぶときと同じ感覚で、Audible作品も選んでみてください。
サンプル再生で、好みの声かを確認する
英語に限らず、好きな声、苦手な声ってありますよね。
Audible作品は必ずサンプル再生ができるので、購入する前に、お試しで再生することをおすすめします。
もちろん、真のリスニング力をつけるためには、自分の苦手な声、発音、アクセントにも慣れる必要がありますが、それは上級者のやること。
Audible初級者の方は、難しく考えず、気楽に、好きな声の作品を選んでみてください。
本人ナレーションの作品を聴く
Audibleはだいたい、表舞台に立つ人(有名人)の作品なら、本人ナレーションになっています。
超有名どころは、例えばこんな作品です。
- The Meaning of Mariah Carey / マライア・キャリー(世界の歌姫)
- Becoming / ミシェル・オバマ(元オバマ米国大統領夫人)
- No One Is Too Small to Make a Difference / グレタ・トゥーンベリ(スウェーデン出身の気候変動活動家)
- Born a Crime / トレヴァー・ノア(アメリカの人気TV番組のホスト)
- How to American / ジミー・O・ヤン(アメリカのスタンダップコメディアン)
個人的にはジミー・O・ヤンの『How to American』が最高におもしろくておすすめです。
さすがコメディアンだけあって、文章自体もユーモアがあるし、声に感情をのせるのも上手いんです。
Audible作品の特典?なのか、本に書いてないことも、補足・愚痴・ツッコミ的に、ちょいちょい挿入してきます(これが本当におもしろい!)。
『How to American』は本当におもしろくて、感動もして、私がAudibleにハマっていく過程で、とても大きな影響を受けました。
Audibleでの英語勉強法
- リーディング
- リスニング
- スピーキング(シャドーイング)
リーディング
Audibleに限らずですが、英語の音声のみですべてを理解するのは、英語上級者でもかなりの難易度です。
音だけじゃ難しいよ!というのはあなただけではないので、安心してください。
私も音だけで一字一句100%理解するのは難しいです。
最初は無理をせず、紙または電子の本を手元に用意し、テキストでのリーディングも遠慮なく組み合わせることをおすすめします。
先にリーディングして内容を頭に入れておくと、リスニングもしやすくなります。
リスニング
リスニングは2段階のレベルに分けることをおすすめします。
●1段階目
1段階目は、大まかな意味を理解すること。テキストなしの音のみで、初聴きで、すべてを理解するのは、とても難しいです。
TOEICのリスニングが460/495点あり(2019年)、外資系歴10年以上になる私でも、それはできません。
そもそも、一字一句100%聴き取る必要性もないかもしれず、それは日本人に良くも悪くもありがちな完璧主義、Over Qualityかもしれません。
なぜなら、細部まで完璧に聴き取れていなくても、Audible作品の意味が十分にわかったり、心が震えるほど感動することもあるからです(例えば前述の『How to American』!)。
英語の勉強より、Audibleを楽しむことに重点がある人は、ここで止めてもいいと思います。
●2段階目
2段階目は、細かな意味まで注意する精聴です。
Audibleを聴く目的が、楽しみより勉強に重点がある人は、このような聴き方も必要になってきます。
Audibleは再生速度の調整や、巻き戻し機能もあるので、聴き取れなかったところを重点的に復習して行きましょう。
そのときは、テキストを見ながらや、次のシャドーイングもできるとベターです。
スピーキング(シャドーイング)
Audibleに限らず、最強の英語勉強法は、シャドーイングだと個人的には思っています。
シャドーイングとは、音声の少し後を、影のように真似をしながら音読することです。
最初はテキストを見ながら、慣れてきたら音声のみでシャドーイングするのが一般的なやり方です。
参考書やニュースの素材は読んでいて、シャドーイングしていてあまりおもしろくないので、
Audibleで、自分の好きな作品で、好きな人の本人ナレーションでシャドーイングすると、より楽しみながら英語学習が続けられます。
シャドーイングは英語のリズム、イントネーション、発音のすべてを、頭ではなく、体に叩き込むもの。
勉強というより、スポーツという感覚でやるのがおすすめです。
Audibleの無料体験と退会方法
無料体験の申込方法
Audibleは無料体験ができるので、安心して始められます。
申込方法は簡単で、↑の無料体験ボタンをクリックし、そのまま進んで行くだけです。
Audibleには「聴き放題」対象の作品が沢山あるので、無料体験中は文字どおり、「聴き放題」対象の作品を無料で聴きまくれます!(笑)
無料体験の退会方法
Audibleは、退会方法も簡単なので安心です。
①「こんにちは!」の中の「アカウントサービス」をクリック(すると↑の画面に来ます)。
②「退会手続きへ」をクリックして流れのまま進むだけ。
退会方法は以上。とてもシンプルなので安心です!
注:退会手続きは「アマゾン」サイト内ではなく、「Audible」サイト内で行います。
洋書Audible「聴き放題」作品の一例と検索方法
「聴き放題」作品の一例
以下に、私が見つけた有名どころをいくつかピックアップしてみましたので、ご参考までです。
「聴き放題」対象作品はこれ以外にも沢山あるので、ぜひ以下の検索方法もご利用ください!
「聴き放題」作品の検索方法
Audibleの洋書(英語)の「聴き放題」対象作品は、上記のような絞り込みで探すことができます。
先に紹介した英語作品は、「聴き放題」対象作品のごく一部なので、万単位の「聴き放題」作品の中から、あなたの好みの作品をぜひ探してみてください。
上記絞り込みのページはこちら(聴き放題・英語で絞り込み済)です!
おすすめの洋書Audible、イチオシ10選
私のおすすめ作品の中でも、特にイチオシの10作品を選んでみました。
↑画像の左から上段が1〜5、下段が6〜10として、
私が英語教師だったら生徒には特に3~5がおすすめ。6,7は腹抱えて笑いました、コメディアン凄い。8は歌手が歌うの反則。9,10は朗読が音楽的に快感。詳細は以下をご覧ください。
入門者向け
Short Stories in English for Beginners
英語学習と物語の楽しさが両立している奇跡の作品です!
英語学習の観点では、第一に、出現頻度の高い上位1000語で初級者用にレベルを調節済み。第二に、各章ごとに重要単語リスト、要約、理解度クイズあり。第三に、1作品20分、1章5~10分の短さなので自分のペースで少しずつ聴ける。いずれもすばらしいです。
物語の楽しさについては、タイムトラベルをする話や透明人間になる話は特に面白くて、簡単な英語でこんな物語が書けるんだと感動しました。
▶先にクイズを読んでから聴くと試験の練習にもなります。TOEICの問題は面白くないので、こういう楽しい作品でリスニングの練習ができるのは本当に素晴らしいと思います!
How Starbucks Saved My Life
わかりやすい平易な英語とAudible入門者にも優しい1.0倍で既にスロウスピードな朗読が特におすすめです。
初級者だけど英語のAudibleが理解できた!他の作品も聴いてみよう!と思えるような自信を得やすい作品です!
また、英語のレベルはやさしくしてほしいけど、子供向けの本はイヤという人にもおすすめです。仕事や職場のことを考えさせられる深さやほっこり感動できる内容がシンプルな英語で語られます。
初級者向け
The Wonderful Wizard of Oz
少女ドロシーが家ごと竜巻に巻き込まれオズの国に飛ばされる→故郷カンザスに戻るために魔法使い(オズ)に会いに行く旅に出る。
このように大筋が明確なので迷子になりにくいですし、途中で、かかし、木こり、ライオンが仲間に加わる→悪い魔女と対決する、という流れも、桃太郎みを感じるわかりやすさ。
昔の私もそうだったのですが、細部に拘っていると全体の理解度が下がってしまいます。でも全体の流れに乗れれば細部まで完璧に聴き取れなくても十分楽しめる。英語学習中の人にはこの体験をしてほしくて特におすすめの作品です。
自在に声色を変えるアン・ハサウェイさんの朗読も素晴らしいです!
No One Is Too Small to Make a Difference
グレタさん(米国タイム誌2019年Person of the Year)のスピーチ集。本として短く、英語もシンプルで聴きやすいです。
言葉選び、発音、文法など、世界の英語非ネイティブがどのような英語を話しているか参考になる点も英語学習者におすすめです。
日本の英語界はネイティブ様、ネイティブ様と、ネイティブ様を崇拝するネイティブサマサマ症候群。ネイティブ様と少しでも違ったら死刑にでもなるのかな?
世界の非ネイティブは母国語のアクセントを残したまま堂々と英語を話しています。世界的にはこれが普通。病気を治すきっかけとしておすすめです!
中級者向け
Murder on the Orient Express
ベルギー人ポワロを筆頭にアメリカ人、イギリス人、ロシア人、ドイツ人、スウェーデン人、ハンガリー人、イタリア人、ギリシャ人など、各国人の英語を演じ分けた朗読がブラボーです!
これは活字で読むことでは体験できないAudibleで聴くことならではの魅力。アクセントを消す必要があるのは正体がバレてはいけないスパイだけ。ネイティブを崇拝するあまり自分に自信を持てないのは悲しいことだと思います。
世界のみんなは母国語のアクセントを残したまま堂々と話します。世界の普通を体験してありのままの自分を認めてあげるきっかけに、全英語学習者におすすめです!
How to American
アメリカのコメディアン・俳優のジミーさんの自伝です。(両親が中国出身の)ジミーさんは香港で生まれ13歳の時に家族でアメリカに移住。異文化に適応することの難しさ、米中文化の違い、下積み時代からスーパースターになるまで、なった後などが、おもしろおかしく、熱く語られます
さすがコメディアン、本人による感情とユーモアたっぷりの朗読が最高に面白いし、原文にない事も補足・愚痴・ツッコミ的に挿入してきてお得感もあり。
表舞台に立つ人の本人朗読は読むより聴いた方が魅力的だと気づいてAudibleにはまるきっかけに。お腹を抱えて笑った&感動もあって大好きな作品です!
Born a Crime
アメリカのコメディアン、トレバーさんの自伝で、タイトルはアパルトヘイト下で白人の父と黒人の母の間に違法な子供として生まれたことを指しています。
政府の目から隠れて暮らした日々、不条理な差別と命の危機、悪友たちとの万引きや闇商売、モテなかった学生時代、母の離婚と再婚、義父のDV等々、エグすぎて笑えない逆境を笑いで吹き飛ばして行く。中でも有名なのはDV夫に銃で撃たれた母が放ったユーモア。この母は強すぎる。
こちらも『How to American』と同じくコメディアンの本領発揮で腹抱えて笑った&感動。出役の人の本人朗読がある作品は活字よりAudibleがブラボーです!
The Meaning of Mariah Carey
アメリカの歌手、マライア・キャリーさんの自伝で、こちらも本人朗読です。
シンプルに声が聴いてて気持ち良い&何度もあるアカペラの歌が最高。声良すぎ歌うますぎわろた、これは反則。歌手の強みAudibleの強みが存分に発揮されていて読むより聴くべき作品の典型例、ブラボーです!
黒人と白人のハーフとして受けた人種差別、家族内の不和、両親の離婚、才能と努力、シンデレラストーリー、囚人のような結婚生活と離婚、恋愛、名曲誕生の背景、セールス不調、そこからの復活劇など、「壮絶」「波乱万丈」という言葉がぴったりな人生は、聴き手の胸に迫ってくるものがあります。
上級者向け
Chronicles: Volume One
アメリカのミュージシャン、ボブ・ディランさんの回顧録で、ノーベル文学賞受賞の理由の一つにもなった作品です。
朗読は俳優のショーン・ペンさん。ディランさんのあのダミ声に加えて、文体が持つリズム感までもをしっかり表現しきった朗読がブラボー。まるでディランさんが弾き語っているよう。
英語はギターだ(ダウンとアップを繰り返すオルタネイトピッキング)(日本語はピアノ[全ての音にアタックが必要])。これも活字じゃなくAudibleで聴く価値のある作品です!
本作は全3巻予定のうちの1巻。御年80歳超えのディランさんが完結できるのかは神(ディランさん本人)のみぞ知る。
The Hill We Climb
アメリカの詩人、アマンダ・ゴーマンさんの朗読作品です。
バイデン大統領就任式では世界的セレブ達のパフォーマンスが目白押しだったにも関わらず主役を完全に食ってしまい若き詩人は一躍スターに。
本作はただの朗読ではなく、巧みな韻や言葉遊びが散りばめられた詩が、彼女独特のピッチや抑揚でラップのようにリズミカルに歌い上げられます。
「分断から調和、団結へ」「疲労した国の再建」「民主主義は負けない」。
ポエムリーディングに馴染みがなく非英語圏出身のリスナーであっても(私のことです)素直に感動させ「言葉の力」を存分に感じさせてくれる作品です。
Audibleで英語多聴:おすすめ50選
入門編のおすすめ5選
Frog and Toad がまくんとかえるくん
半世紀にわたって親しまれている絵本シリーズです。主な内容は、ちょっぴりわがままで突拍子もない行動に走りがちな「がまくん」と、優しいながらもズルいところもある「かえるくん」という、対照的な「凸凹コンビ」による友情物語。
本来は幼児から低学年向けの作品ですが、大人でもクスリと笑えたり、深く考えさせられたりと充分に楽しめる名作です。
使われる語彙も簡単なので、初級者でも無理なく楽しめます。要所要所に効果音や音楽などのBGMも入ってくるため退屈しません。
リスニングに苦手意識のある方にも、簡潔な文体は聴きやすく、会話形式の物語なので単語を入れ替えて日常会話にもそのまま使えます。
幼児向けの絵本なんて…と思われるかもですが、本作は大人にもかなり利用価値が高いもの。『The Little Prince』や『Who Moved My Cheese?』よりも、さらに敷居が低い「入門編」としておすすめです。
And Tango Makes Three
ニューヨーク、セントラルパーク内の動物園で実際にあった出来事を基にした物語。オス同士のペンギンカップル、ロイとサイロには仲良く巣作りはできてても、卵は生まれません。
それでも諦めない2羽の様子を見ていた飼育員さんの粋な計らいで、ひとつの卵が与えられることに。交代で懸命に世話をし、生まれてきたのがタンゴという新しい家族でした。
「幸せのカタチ」「家族のカタチ」「愛のカタチ」には多様性があるのだということを、シンプルに伝える絵本は、聴き終えた後に子供も大人も、ほっこりと優しい気持ちにさせてくれます。
ちなみに、本のタイトル、そして子ペンギンの名前は、英語慣用句「it takes two to make a Tango(互いの協力なしでは完遂できないもの)」が由来。2羽が力を合わせたからこそタンゴが生まれたんだよ、という強いメッセージが秘められています。
アメリカやイギリスの幼稚園や小学校では定番になっている本作(一部エリアでは、LGBTQというテーマのため禁書扱いのようですが)は、英語も簡単かつ時間も短いので、Audibleの「入門編」にぴったりな作品としておすすめです。
Our Subway Baby
こちらもニューヨークで20年ほど前にあった実話がベース。地下鉄に捨てられていた、生後間もない赤ちゃんを見つけたゲイカップルが、紆余曲折ありながらも、その子を養子に迎え育てていくという絵本ストーリーです。
2020年に出版され、欧米では大きな話題になりました。 育児放棄、児童遺棄、LBGTQ、養子、法的問題など、シリアスなテーマが満載ですが、聴き手を純粋にウルッと感動させるものがあります。
というのも、本作の登場人物は、カップルやその周囲の人々だけではなく、彼等を後押しする裁判官まで、とにかく誰もが愛情深く、温かいんです。
カタチやキッカケはどうであれ、運命的な優しい出会いが重なり、愛情あふれる幸せな家族を築いていきます。今のような同性カップルの養子縁組の一般化、そして同性婚が合法化する以前の「奇跡のようなホントの話」という点もポイントです。
すでにご紹介した入門編「Frog and Toad」「And Tango Makes Three」よりもセンテンスは長めですが、小学校低学年レベルの英文で構成されているため、「入門編~初級編」向け。まだ洋書に慣れていない方にも、短いお話なのでかなり聴きやすくおすすめです。
The Beginner’s Bible Audio
世界最大のベストセラー『聖書』を、英語圏の子供向けに要約した作品。英単語も英文もシンプルで、朗読のスピードもゆっくりなので、Audibleの初級者にも聴きやすい作品になっています。
『聖書』と言うハードルが高く感じてしまいますが、本作は昔話のように聴けて、シンプルにおもしろかったです。
『聖書』は世界的に大きな影響力を持っていますから、その内容をざっくりと学べるのもポイントです。西洋の絵画、映画、ドラマ、小説などの理解に、『聖書』の知識が役立つこともありますしね。
そんな『聖書』をAueibleで学べるのは効率が良く、英語と教養を一石二鳥で学べるという意味で、本作はおすすめです。
50 Things Every Young Gentleman/Lady Should Know
アメリカで創業された世界最古の紳士服ブランドで、歴代の大統領にも愛されているブルックス・ブラザーズともコラボしているシリーズの1冊!
平易な英語(対象年齢は10歳前後)かつ短いページ数(約200ページ)で、紳士/淑女のたしなみを学べます。
自分にできていること、できていなかったことを確認でき、自分を客観視することの助けになります(私は靴を磨こうと思いました!)。
初級者向けのおすすめ10選
Charlie and the Chocolate Factory
イギリスが誇る世界的児童作家ロアルド・ダールさんの代表作。ジョニー・デップさん主演の映画も有名なので、親しみを感じる人も多いかもしれません。
本作は平易な英語で書かれているので、初級者にも優しい作品です。また、4人のchildren(悪い子達)が次々にgone(脱落)していく展開に、童話的な深みを感じられるとともに、洋書Audibleリスニングの観点では、このシンプルな展開ゆえに迷子になりにくく、聴きやすい作品です。
また、このAudible版は所々にBGMがあったり、小人のウンパルンパの歌がリズム良く読み上げられたりと、活字にはない魅力が追加されている点も見逃せません。
Audibleならではの魅力があり、聴いていてとても楽しく、本記事内のおすすめ作品の中でも特におすすめの作品です!
Who Moved My Cheese? チーズはどこへ消えた?
世界で3000万部以上売れているスーパーベストセラーかつ、洋書デビューのど定番。当然Audible初級者にもおすすめな作品です。
本作品も短く、おとぎ話風で、聴きやすいのが最大の特徴で、まず最初に一冊聴き切って、Audibleの洋書も聴ける!という自信をつかむのに最適。
チーズとは私たちが人生で求めているものの比喩で、チーズの消失は環境変化の比喩。環境変化に対し、登場人物たちはどの様な行動に出るのか? 大人にとっても学ぶべきことの多い、深みのある物語です。
Convenience Store Woman コンビニ人間
2016年の芥川賞受賞作『コンビニ人間』の英語バージョンです。「普通」や「常識」とは何なのかをテーマにしたこの中編小説は、Publishers Weekly (書籍業界紙)でも星印を獲得し、欧米のメディアでも大々的に取り上げられていた作品。有名文芸誌として知られるニューヨーカーの2018年のベストブックの1冊にも選出されています。
就職や結婚もせず、長年コンビニでバイトを続ける30代後半の主人公。幼少時から”異端児”であった彼女は、他人に共感が持てず、一般社会というものに馴染むことができません。
普通になるため試行錯誤しますが、完璧にマニュアル化されたコンビニという世界の機械的作業や希薄な人間関係に自身の居場所や存在価値を見つけていきます。
主人公の飄々とした客観的視点や、その家族や周辺との絡みが面白いです。同居人との会話も笑えるものがあり、コンビニの詳細(勤務者目線)も興味深く、あっと言う間に聴き終えてしまうほど引き込まれます。
また、社会不適合者と呼ばれる人に世間はどう反応するのか、普通と異端の差ってどこなのかなど、異質な存在を排除しようとする現代社会について色々と考えさせられるものがあります。
欧米でも人気の村上春樹さん以外の日本の英訳作品を探していた際、出会ったのが本作です。原作未読のまま英語版を聴いたのですが、予想以上に楽しめました。
使用されている英語も中高生レベルで簡単なうえ、ストーリーも短めなのでAudible初級者の方、あるいは英語学習者の方にもおすすめです。
A Bear Called Paddington くまのパディントン
世界で約3000万部売り上げているスーパーベストセラー。児童文学なので聴きやすく、初級者でも楽しめるAudible作品としておすすめです。
主人公はペルーからロンドンにやって来たくまのパディントン。イギリスの作品だからか、とても紳士的なくまです。ロンドンを舞台にドタバタやるパディントンがかわいすぎて、キュン死しそうになります(笑)
映画『Paddington』、『Paddington 2』も大ヒットしました!
The Alchemist アルケミスト
こちらも世界で1億5000万部売れているスーパーベストセラー!
ある日、スペインの羊飼いの少年は、エジプトのピラミッドに宝物があるという夢を見ます。
羊飼いは現実の比喩、ピラミッドの宝物は夢の比喩です。
夢か現実か?世界共通のテーマだからか、日本を含む世界中でファンの多い超人気作品です。
物語も大人向けの童話風で読み/聴きやすいです!
The Elephant Vanishes 象の消滅
本作は村上春樹さんの短編小説集で、1話ごとのボリューム的に、初級者でも聴きやすくおすすめです。
数多くの短編小説を書いている村上春樹さんですが、なぜ『The Elephant Vanishes 象の消滅』がおすすめなのか?
その理由は、本作はベストアルバム的に代表作を収録しているからです。
(より正確には、本作はベスト第一弾的位置付けで、第二弾は『Blind Willow, Sleeping Woman めくらやなぎと眠る女』)
本作は、特に人気の高い『午後の最後の芝生』、『四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』、『パン屋再襲撃』を含む、全17作品を収録。
私が一番好きなのは『四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』で、よくそんなこと思いつくなぁ、おもしろい発想だなぁと、プロのすごさを思い知らされ、とても印象に残っています。
この『~100%の女の子~』は11分13秒と短い作品なので、繰り返し聴きやすいですし、英語もそこまで難しくないので、ぜひ聴いてみてください!
Jonathan Livingston Seagull かもめのジョナサン
世界で累計4千万部以上売れている世界文学史上に残る名作です!
ジョナサンは群れのルールを逸脱し、自分の好きな飛行訓練を続けていたが、規律を乱す危険分子と見なされ、群れを追放されてしまう。
それでも飛行訓練をやめないジョナサンの前に、2羽の光り輝くかもめが現れる。
かもめ、空、海など、設定が限られているので、知らない単語も推測しやすく、推測の練習におすすめです!
短いので、一冊聴き切って、Audibleでも行けるわ!という自信もつけやすいです。
Factfulness ファクトフルネス
オバマ元大統領やビル・ゲイツが絶賛する世界的名著。
教育、貧困、環境、エネルギー、医療、人口問題などについて、データを元に世界を語る本。
実用的な単語が中心なので、抽象的な表現がなく、とても聴きやすいです。
思い込みにとらわれず、データを元に、正しく世界を見るスキルを、英語との一石二鳥で学べます!
Rich Dad Poor Dad 金持ち父さん 貧乏父さん
世界3000万部のスーパーベストセラー『金持ち父さん、貧乏父さん』の20周年記念版。
生きていく上で目を背けられないお金のことを、英語学習しながら学べます。
平易な英語で書かれているので、聴きやすいです!
Go the F**k to Sleep
NYタイムズ誌、2011年のベストセラー1位を15週連続で獲得した作品です。子供用絵本の体裁は取ってますが、寝かしつけに四苦八苦する父親の建前と本音(愚痴)を、ブラックユーモアたっぷりに描いた大人のための絵本。
放送禁止用語を連発するので、大人には抱腹絶倒ものですが、決して声を出して子供に聞かせてはいけません(笑)。
読むのも良いですが、Audible版はさらに魅力的です。なにせ、世界でもっともスラングが似合うと言っても過言ではない俳優、サミュエル・ジャクソンによる朗読なのですから(タランティーノ映画をご想像ください)。
なかなか寝付かない子供に疲れ果て、ついにはブチ切れていく様を臨場感たっぷりに読み聞かせてくれます。下品なのにリズミカルな口調で、最高に笑わせてくれます。
昨年のパンデミック中には、外出自粛を呼びかけるためのパロディ版「Stay the F**k at Home」も大反響になりました。「リアルな日常英会話」を知るという意味でも、このAudible作品はおすすめです。
中級者向けのおすすめ15選
The Pillow Book 枕草子
世界初の随筆文学であり、日本文学を代表する古典かつ名作。現代人にとっては、古文原文より英語の方がわかりやすいかもしれません。
本作は、清少納言さんが一条天皇の中宮定子さんに仕えていたときのできごとを、300以上の短い章に分けて、あれもこれも語りつくします。
Audibleという形式の影響もあるかと思いますが、清少納言さんはおしゃべり好きのお姉さんという印象を、私は受けました。どこかのカフェで一緒に雑談してる(というか一方的に聴いてる)みたいでした。
大部分の章は数分なので、自分のペースで区切って聴きやすいところも、リスナーフレンドリーでおすすめです。
この機会に、有名な「春はあけぼの〜、夏は~、秋は~、冬は~」を英語で聴いてみませんか?
ご参考までに、春をディクテーションしてみました(和訳はバックトランスレーション)。
In spring, it is the dawn that is most beautiful. As the light creeps over the hills, their outlines are dyed a faint red, and wisps of purplish cloud trail over them.
春は夜明けが最も美しい。光が丘を這い、丘の輪郭が淡い赤色に染まり、紫がかった雲の細い束がその上にたなびく。
夏、秋、冬はご自身でお聴きになってみてください。日本の古典を英語で聴くのもまたいとをかしです!
Elon Musk
イーロン・マスク初の公式伝記です。ライターは、スティーブ・ジョブズの伝記などで実績のあるウォルター・アイザックソン。個人的には、2023年下半期最大の注目作は本書で決まった感があります。
本書はイーロン・マスク本人の次の言葉をエピグラフとして始まります。
「感情を逆なでしてしまった方々に、一言、申し上げたい。私は電気自動車を一新した。宇宙船で人を火星に送ろうとしている。そんなことをする人間がごくふつうでもあるなどと、本気で思われているのですか、と。」
もう最初から笑わせていただきました。そして本編はイーロン・マスクが生まれ育った南アフリカ(修羅の国)での強烈なエピソードからスタート。
最初からグイグイ引き込まれ、その後はイーロン・マスクが手がける様々な仕事から未来も垣間見え、大満足の作品でした。
イーロン・マスクが好きな人はもちろん、嫌いな人にこそ聴いてほしい作品です。好むと好まざるとにかかわらず、未来を作るのはこの男なので、どんな人間なのかざっくりとでも把握しておくことは、今後を生きるうえでも有益なことだと思います。
本作は和訳版は上下2冊になるほどの大作ので、読むのは辛い、でも内容に興味がある、という方にはAudibleがおすすめです!
Becoming マイ・ストーリー
オバマ元大統領夫人ミシェル・オバマさんの自伝、本人ナレーション、グラミー賞受賞、アマゾン評価も圧倒的なスーパーベストセラーです!
個人的に刺さったのは『Becoming』という現在進行形のタイトル。そこに込められた意味は、序文で明らかになります。
Now I think it’s one of the most useless questions an adult can ask a child―What do you want to be when you grow up? As if growing up is finite. As if at some point you become something and that’s the end.
今、私は思います、大人が子供に聞く最も無意味な質問の一つは ー 大人になったら何になりたい? まるで大人になることが有限であるかのようです。まるであなたはどこかの時点で何かに成り、それが終わりのようです。
全3章からなる本作の構成も、第1章がBecoming Me、第2章がBecoming Us、第3章がBecoming More。
私たちは何かになって終わりじゃないんだ、常に現在進行形なんだ、というメッセージが込められているようで、とても共感できました。
ミシェルさんは黒人、女性、労働者階級出身で、差別される側、弱者側(昔は今より酷かった)でした。彼女は様々な壁を突破して弁護士に成ります。自分の為に頑張ったわけです。しかしバラックさんはみんなの為に頑張っていたようです。これはかっこいい、惚れる、と思いました。でも彼は片付けができないとかdisったりするユーモアも面白かったですw
大統領に立候補する(そして成る)ことは家族にも大きな影響があります。ミシェルさんは最終的にOKを出したけど、バラックさんは黒人だから選挙で勝つことはないと思っていたからだった、というエピソードは印象に残りました。あんなに強く前向きでcan-do-spiritのミシェルさんでさえこう思っていたなんて、黒人が大統領になるって改めて凄いことだったんだなと・・・
黒人コミュニティーにはこんな格言があったそうです。
You’ge got to be twice as good to get half as far.
黒人は(白人の)2倍優れていて半分までしか行けない。
アメリカでも、全世界でも、最も尊敬される女性に選ばれたことのあるミシェル・オバマさん。その自伝から、尊敬される人の人間性を感じられる体験は、本作の醍醐味だと思います。
海外の知識や英語学習という範疇を超え、性別に関係なく、人として勉強になる名作です。
The Midnight Library
人生に行き詰まった中年女性が自死を選んだことで、生と死の狭間にある”真夜中の図書館”に迷い込み、「ありえたかも」な色々な人生のお試し体験をするという、パラレルワールドなSFファンタジー小説です。ニューヨークタイムズで1年近くベストセラー入りを続けた作品であり、2020年のGoodreads Choice Award受賞作。
不思議な図書館にあるのは、人生の分岐点といえる、これまで選択してこなかった人生物語が描かれた数々の蔵書。その本を開くことで次々と違う経験をし、主人公が「本当に望むもの」探しをしていく、というのが大まかな内容です。
本作は、自己肯定度がかなり低めの主人公の自殺からスタートする物語なので、少々ネガティヴな印象になるかもしれません(筆者は、シンプルに明るい話を期待していたので、一度聴くのを挫折→再挑戦しました、笑)。しかし、聴き進めていけばいくほど分かるのですが、なんだかセラピーを受けているようにジワジワと心に染みる展開になっていきます。
主人公の”やり直し”の世界、それはロックスターの人生だったり、オリンピック選手の人生だったり、子供のいる結婚生活や学者人生だったり…と、別の小話になっているのですが、これがどれも面白いのです。幸せの背中合わせで常に苦難も待ち受けているという感じで、人生ってハッピーエンドばかりでないという点が妙にリアルで惹き込まれていきます。
誰だって大なり小なりの後悔や思い残しがあったり、「あの時、ああしてれば?」なんていう気持ちを抱いたことがあると思うのですが、本作を聴き終えると「自分の現状も案外悪くない」とホッコリさせるものがあります。聴くタイミングでかなり印象が変わってくる作品ですので、心がお疲れ気味の時におすすめします。
女優キャリー・マリガンによる朗読は、英国アクセントはあるものの聞き取りやすく、低めの落ち着いた声はベッドタイムのリスニングに最適です。
Daisy Jones & The Six
ある作家が、70年代の人気絶頂期に突如解散した伝説のロックバンドの謎を追うべく、当時のメンバーや関係者へのインタビューを通して、その知られざる誕生秘話から解散の真相を紐解いていく、という音楽系小説です。2019年のニューヨークタイムズのベストセラーの1冊。
70年代の音楽シーンと聞くと、「セックス、ドラッグ&ロックンロール」な退廃的(かつ、刹那的)な展開がなんとなく予想できる、”ありがち”な設定と感じるかもしれません。しかし、本作は全編がインタビュー形式で構成され、個性豊かな複数の登場人物の各視点(時には対照的な見方で)で舞台裏を明かしていくのが一味違うところ。まるで音楽ドキュメンタリーのように、実にリアルで生々しく描かれていきます。
クセが強いものの、どのキャラクターも魅力的で、架空のバンドの物語なのに「実在するのでは?」と錯覚させるほどストーリーの世界に没入できるはずです。Audible版はフルキャスト(キャラクターごとに違う俳優を起用)なので、活字版よりも圧倒的に臨場感があるのでオススメですよ。
音楽ファンであればすぐにピンとくるかもしれませんが、本作は大御所バンド「フリートウッドマック」(特に、フロントメンバーであるボーカルのスティーヴィー・ニックスとギターのリンジー・バッキンガムのふたり)がモデルと言われています。
読み進めていくと、無償に当時の音楽が聴きたくなってしまうという音楽ファンには中毒性の高い作品と言えますし、あの時代を知らないリスナーにも「音楽が今よりもずっと力を持っていた」時代の息吹や当時のカラフルなカルチャーが生き生きと感じられる良作です。
余談ですが、この作品はリース・ウィザースプーンのプロデュースで連続ドラマ化が進行中(2022年にはAmazonにて公開予定)。短い会話が主体の作品ですので、中級者以上であれば問題なく楽しめます。
More Myself: A Journey
世界的歌姫のひとりとして知られるアリシア・キーズの自伝です。本人によるナレーションの他、家族や身近な友人(ミシェル・オバマやJay-Zをはじめとする錚々たるセレブたち)も特別ゲストとして登場します。発売以降、2021年「Audie Award」など数々の受賞をしている作品。
本作は、作品の合間にアーティスト本人の歌唱が入る特典付という意味でも、『The Meaning of Maraih Carey』などと同様に、活字よりも圧倒的にAudible作品の方が魅力的と言えるものです。
全3章から構成される内容は、黒人と白人との混血としての複雑な生い立ちや黒人としての自覚、裕福とは言えない環境から開花させた才能と努力、
若くしてスターとなった後の音楽業界での苦悩や葛藤、そして自身のルーツへの探求やアイデンティティの確立まで、彼女の半生を語るもの。
単なる成功談としての自伝というよりは、アーティスト自身の成長記録といえる作品となっています。
紆余曲折があったマライア・キャリーの自伝と比較すると、順調にキャリアを進めてきただけあって波乱万丈度は高くはないですが、音楽業界のカラクリや有名アーテイストとの交遊録など興味深いエピソードも豊富で、彼女のファンならずともおもしろく聞けますよ。
個人的には、プリンスとのほのぼのとしたエピソードと大ヒット曲『Empire State of Mind』に関するJay-Zとの小話が印象的でした。洋楽好きなら、ぜひおすすめしたい作品です。
A Man Called Ove
スウェーデンで大ヒットした小説の英語版です。2013年のニューヨークタイムズのベストセラーに1年近くも入るほどのロングランヒット。著者はこのデビュー作で一躍スター作家となりました。
最愛の妻を亡くし、仕事も失い、リタイア生活に入った主人公。偏屈で曲がったことを嫌い、そのうえ口うるさい初老の彼は、近隣住人からも敬遠されがち。孤独感を募らせ、妻の後を追おうとさえします。そんな時、新たなお隣さんが引越して来たことで渋々ながらも交流が始まり、徐々に生きる力を取り戻していく、心温まるお話です。
「イイ人」なのに頑固で不器用な主人公の他、良い意味で図々しい隣人、ふてぶてしい野良猫などのサブキャラも魅力的。過去や現在の短いエピソードを繋げていくことで主人公の真の姿が明らかになっていく「謎解き」展開なので、最後まであっという間に聞き進めていけます。 次々に隣人たちから持ち込まれる問題で死ぬに死ねない状況は大笑いできますし、主人公が亡き妻を思う切ない心情には不覚にも涙させられます。
また、中高年男性の寂寥感というか、メンタルヘルスの問題を軽いコメディタッチながらもリアルに描写している部分も印象的です。 コロナ渦で対面接触がままならない今だからこそ、他人との「コミュニケーション」の重要性を改めて感じさせてくれる秀作です。
2015年には本国スウェーデンでは映画化もされており、こちらも小説と甲乙つけ難い名作。ちなみに、ハリウッドのリメイク版もトムハンクス主演で進行中とか。 イギリス小説『The Unlikely Pilgrimage of Harold Fry』や映画『Forrest Gump』などのハートウォーミングな作品がお好きな方には、とくにおすすめしたい作品です。 原作がスウェーデン語とは全く感じさせないほど、スムーズな英語翻訳と高評価を受けている本作は、英文の難易度も高くなくサクサク聞けます。
Me Talk Pretty One Day
アメリカ(及び、英語圏)では知らない人はいない、有名コラムニストによるエッセイ集。作家でありながらコメディアンとも称される、著者の実体験を基にした自虐的風刺が効いた作品です。
著者は、文芸誌「NewYoker」や有名ファッション誌などの数々の媒体への寄稿の他、ラジオのパーソナリティや舞台脚本家としても著名であり、2021年秋に刊行された最新作『A Carnival of Snackery: Diaries』を含めデビュー以来全作品がベストセラー入りを記録するほどの人気作家。エッセイストの最高峰と称されるほど、各国に熱狂的なファンを持つことで知られています。
約20年前の古いものですが、非英語圏の学校では英語教材に度々使用されるほど、いまだに人気を誇っています。Amazon(米国版)では「死ぬまでに読むべき100冊」にも選定されており、同年リストには村上春樹さんの「ねじまき鳥」も入っていることでも、いかに英語圏での評価が高いのかご理解いただけるかもしれません。
本作は、大きく分けて2章で構成され、全28話の短いエピソードを収録。前半は米国の片田舎での幼少時代の過去話、後半は中年になってからパートナーと共に移住したフランスでの苦労話を軸に展開していきます。とりわけ後半のお話はどれもおもしろく、フランス語の知識ゼロで入った語学学校で意地悪な教師にいじめ抜かれたり、流暢に仏語を話す幼稚園児に嫉妬したり…と、抱腹絶倒のものばかり。語学学校経験のある方であれば、「あるある」と吹き出して笑ってしまうはず。
バラバラの単語羅列のような珍妙な本作タイトルは、語彙力のまったくない生徒同士の合言葉「いつか、上手く、仏語が話せるようになるといいよね」という意味の仏語を英語に変換したもの。 ナレーションも著者本人が担当。過去にグラミー賞の最優秀スポークワードアルバムを受賞しているほど、軽妙な語り口なので活字版よりも断然おもしろいです。
一部スラングが入り混じる箇所もありますが、英語は非常に聞き取りやすいです。 余談ですが、著者(大の日本好き)のシニカルな日本滞在記を収録した別作品『When You Are Engulfed In Flames』もおもしろくおすすめです。
Wow, No Thank You.
米国のミレニアル世代に絶大なる支持のある、ユーモア作家サマンサ・アービーによるエッセイ集。著書の身近に起こった面白エピソードをまとめた作品です。
著者は日本ではまったく無名ですが、ブロガーとして頭角をあらわし、今では作家、及び売れっ子のテレビ脚本家(『セックス・アンド・ザ・シティ』の続編『And Just Like That…』など)として知られています。
本作はコロナ渦真っ最中の2020年のタイムズ誌において「今読むべき100冊」の1冊としても選出されており、ニューヨークタイムズのノンフィクション部門でもベスト1を獲得しました。
収録されている多くのエピソードは、とくに30代や40代世代が共感できるような内容。日常でふと感じる若い世代とのギャップ、「大人であること」への試練や厳しさなどのリアルライフを、ブラックユーモアたっぷりに曝け出していきます。口に出すと恥ずかしいような「ありのまま」の中年層(決してティーンや20代前半ではありえない)の実態を面白おかしく語っていく点が魅力ですが、人間関係から身体的欠点などの詳細がかなり生々しすぎるため(下世話な表現も多々)、好き嫌いが分かれるかもしれません。
中年女性の悩みや疑問を自虐的ユーモアと痛烈なウイットで描く本作は、日本で言えば中村うさぎさんの少々ぶっちゃけすぎた作品に共通するものがあります。そのあたりの笑いがお好きな方には、とくにおすすめです。 人生、結婚、友情、老後、お金、キャリアなどトピックスも多岐にわたっているので、ぜひお好みの作品を見つけてみてください。
I Thought My Father Was God: National Story Project
現代アメリカ文学を代表する作家、ポール・オースターがホストを務めた約20年前のラジオ番組『National Story Project』(一般公募で集められた「嘘のような本当の話」をオースターが朗読する企画)からの珠玉のアンソロジーです。
本作は、全米各地から投稿された何千もの物語のなかから、オースターが厳選した179編のショートストーリーを、当時のラジオ番組そのままに本人が朗読したもの。まさにAudibleのためにあるような作品と言えます。
ごく普通の人たちが綴る日常や非日常的な物語の数々は、くすりと笑えるもの、ほろりと涙させるもの、本当なのか不思議に思えるもの、読後に考えさせられるもの…など、トピックスは多岐にわたってますが、どれも生身のアメリカを感じさせ、何度も繰り返し聴きたくなる味わい深い話ばかりです。
「家族」「戦争」「動物」などテーマごとに大まかに分類されており、物語も短いもので1分程度、長いものでも10分弱と超短編なので、気になるものから好きに聴き始めることができるのがポイントです。ぜひ自分好みの話を見つけてくださいね。
また、オースターによる朗読は、落ち着いた低音で聞き取りやすく、時に猛烈に早口になったりと米国東部出身者らしさを感じさせる、”リアルな語り口”なのも魅力的です。
余談ですが、オースターは人気作家としては珍しく、本人ナレーションによるAudible作品がかなり豊富です。『Brooklyn Follies』『The Book of Illusions』『4321』など、オースター自身の作品も耳で楽しんでいただけるとうれしいです(オースターファンとして、笑)。どの作品も英語自体は決して難解ではないですが、淡々とした独特な文体リズムのため、作品に馴染みのある方であれば中級者以上、なければ上級者向けとなります。個人的な感想ですが、人間や情景描写が音楽のように目の前に広がっていきますよ。
With the Fire on High
高校生のシングルマザーが孤立無援の貧困生活のなかで、料理の才能に目覚め、夢を追いかけていくというライトノベル系小説です。昨年、全米のティーンを中心に若い世代で大人気となり、「2020 Audie Awards」にも選出されています。
本作は、高校1年生(まだ14歳)で妊娠と出産、唯一頼れるはずだった祖母の介護まで抱えてしまう主人公がその逆境にくじけず、自分の将来のために果敢に挑戦を続ける青春(成長)物語です。
その境遇は、「そういうティーンや家庭って結構いる」と欧米のリアルな「あるある」を反映したもので、そのあたりが若い読者層に大きな共鳴感を生んだよう。若くもない筆者としては(笑)、母親のような気持ちで主人公を応援したくなるものでした。
著者は、デビュー作『The Poet X』(2018年のニューヨークタイムズのベストセラー)で英語圏のYAジャンル(ヤングアダルト:高校生メインの若い層向け)の賞を総ナメにした期待の作家と言われてるだけに、軽い文体ですが感情移入しやすい巧みな心理描写が見事です。
”YAジャンル”と称される作品は、洋書初級者にも入りやすいものが多いのでおすすめのAudibleですよ。 一部、若者特有のスラングやスペイン語が入るのが少々ネックですが、英語自体はかなり平易なので、中級者なら十分に楽しめます。
Alice’s Adventures in Wonderland 不思議の国のアリス
100年以上にわたり、世界的に親しまれているファンタジー童話。このイギリス発の不朽の名作は、ウサギを追いかけて不思議な国へと迷い込むアリスの冒険物語です。
身体の大きさが変わったり、生き物が人間の言葉を話したりと様々な奇妙な体験をしていくお話は、子供であれば純粋に想像力を掻き立てられるものであり、大人であればその不条理な世界観に考え込まされたり、なにか恐れに似た感情を抱かせるかもしれません。そのあたりが、この物語の摩訶不思議な魅力となっていると言えます。
好奇心旺盛の主人公アリスをはじめ、時計ウサギ、チェシャ猫、トランプ兵など多くの登場人物も魅力的ですが、この物語の醍醐味は韻を踏んだり、ダジャレになったりする「言葉遊び」です。
このへんは翻訳本ではなかなか味わえないところですので、ぜひともAudible作品に挑戦してみてください。
本作のおすすめ2作品あります。まず、スカーレット・ヨハンソンが朗読する米国版(リンクは↑)は、感情や抑揚の表現が強めで、かなりハッキリとした発音なので聞き取りやすいです。
一方、本場英国ならではの世界観を味わいたい場合は、ケイティ・ロング(『ハリーポッター』でハリーの初恋の女の子で出演)の朗読による英国版(リンクは↓)も良いですよ。クセのないイギリス英語なので、耳馴染みもスムーズです。
どちらも子供向けに制作されたものですので、Audible初級者の方にもおすすめです。
Animal Farm 動物農場
1950年の死後、今なお世界的に影響力のあるイギリスの作家、ジョージ・オーウェルの代表作です。
オーウェルと言えば『1984』が有名ですが、英単語、英文、内容の全てにおいて上級者向けなため、なかなか手が出しにくいのが現実。
しかし、この『Animal Farm』は、動物たちを主人公とした寓話風の作品で、ナレーションも早くないので、Audible中級者でも聴きやすいです。
ざっくりのあらすじは、人間に支配されている動物たちが革命を起こし、平等な国をつくるかと思いきや、2匹の豚が恐怖政治を行っていく過程が描かれていきます。
2匹の豚のナポレオンとスノーボールは、それぞれロシアのスターリンとトロツキーを、革命から恐怖政治への流れはロシア革命を風刺していると言われています。
革命とか恐怖政治と言われるととっつきにくいですが、動物たちの寓話になっていることで、世界的、歴史的に重要なことを、抵抗なく学べるのは本作の魅力。『Animal Farm』は、『1984』と同じく、大人の教養として聴いておいて損のない作品です。
ところどころ知らない単語も出てくると思いますが、寓話風に仕立てられた物語の、全体の理解を妨げるほどではありません。
完璧主義にこだわっていると、いつまで立っても英語版Audibleを楽しめるようにならないので、一字一句完璧に100%聴き取る必要はないんだ!っていう感覚を体験する意味でも、本作はおすすめです!
Silence 沈黙
遠藤周作さんの『Silence(沈黙)』は日本文学の名作中の1つ。17世紀の日本の史実・歴史文書に基づいて創作された歴史小説です。発表は1966年で、2016年にはマーティン・スコセッシ監督により映画化もされました。
ざっくりの内容は、絶対キリスト教を布教したい宣教師と信じたい日本信者vs絶対キリスト教を禁止したい幕府、というか一方的な弾圧。信者がどんなに苦しんでいても神は沈黙したまま。神は存在しないのか?といったもの。
作品名でSilenceと言いつつ最後にSpokenと真逆の結論にするのは、文学や歌詞でよくある好きな手法なのですが、本作の場合はちょっと何言ってるか分からなかったですw
ただ、 最後の方で神が「I understand your pain and your suffering. It is for that reason that I am here.」と語るとこは良いなと思いました。1人じゃないって思えたら気持ちが楽になるだろうし、ボクは神を信じてないけど、サンタクロースみたいに信じた方が幸せな気持ちになれるなら信じればいいと思います。
主要登場人物のロドリゴとキチジローの関係は、キリストとユダの関係に重ねられており、作品を神話/歴史/古典に重ねることで、物語に深みが増しています。
英語的に難しいととるか、そうでもないととるかは、考え方によると思います。例えば、Apostatize (信仰、信条、大義を捨てる)とTrample(踏みつける、踏みにじる)。この2つは初聴でしたが、キリスト教信者への弾圧の話なので、意味は簡単に推測できました。難しい単語を覚えるのはだるいし、その必要もない。基本の単語をしっかり理解してれば、残りは推測で対応できる。とりあえずこの2つ覚える気ない。これからも文脈任せ。知らない単語どんど来い。私はこれを無敵のメンタリティーと呼んでます。本作で推測の練習をしてみませんか?
At the End of the Matinee マチネの終わりに
日本人作家、平野啓一郎さんの代表作『マチネの終わりに』の英語版です。日本語版発表当時(2016年)から話題になり、福山雅治さん主演で映画化(2019年)もされたため、原作を読んだand/or映画を観たことがある人もいらっしゃると思います。
内容はいわゆる大人の恋愛小説で、主な登場人物の蒔野(まきの)は38歳の天才クラシックギタリスト、洋子は40歳のジャーナリストです。この2人が蒔野のコンサート後に出会い、互いに惹かれあって行きます。舞台は東京、パリ、バグダッド、ニューヨークなど。お互いにアラフォーなだけあって、理性的で大人な恋愛物語です(とは言え、途中で悪役によるとんでもない妨害が入り、そこは正直引きました。リスニングの聞き間違いかと思って2回聞き直しましたw)
主なテーマは、過去は未来によって変えることができる、The future changes the pastといったもの。例えば、すごく嫌なことがあったとしても、それをきっかけに色々がんばって良い未来を築けたら、あの時のあれがあったから今がある、と嫌な過去がポジティブな意味を持ち始めます。
私は将棋界のレジェンド、谷川浩司九段の言葉を思い出しました。「勝っても、それで自信過剰になり、努力を怠れば勝ったことがマイナスになる。負けたとしても、その敗因を冷静に判断し、次につなげるべく努力していけば負けたことがプラスになる。」
私の過去で言うと、就活に失敗してそのときは本気で落ち込んだのですが、だからこそ英語をがんばれたり、世界を旅したり、結果的に外資系グローバル企業に転職できたり。今思うと、あのとき就活に失敗して本当に良かったと思っています。
いろいろと嫌なこと、大変なことのある人生。成功ばかりと言うわけには行かず、失敗や挫折の方が多いのが普通なのだと思います。その度に落ち込んでいたらキリがないですし、何の得もないですよね。私も過去にいろいろと嫌なことがありましたが、今はその過去が良い意味を持つような未来を作って行きたいと思っています。
上級者向けのおすすめ10選
Harry Potter and the Philosopher’s Stone ハリー・ポッターと賢者の石
世界5億冊を売り上げたスーパーヒットシリーズの第1作。
本作のおすすめポイントはなんと言っても、魔法の世界の描写ですね。ハリーも初めて見る魔法の世界を、読者も一緒に楽しむことができるところが楽しいです。
例えば、入学前にハグリッドと訪れたダイアゴン横丁では、オリバンダーの杖の店で「杖に選ばれる」体験をしたり、ゴブリンに警備されたグリンゴッツ銀行でお金を下ろしたり。
また、学校ではみんなで杖を振って呪文の練習をしたり、箒で空を飛ぶ練習をしたりと、とにかくワクワクできます。
学校はお城で、肖像画に描かれた人が動いて話したり、階段が移動するのも魅力的。私自身も、自分にもホグワーツから手紙が来ないかなと本気で願ったものです!
ナレーションの担当は、イギリスの国民的作品『シャーロック・ホームズ』シリーズや、『銀河ヒッチハイクガイド』も担当した、英国タレントのスティーブン・フライ。
このレベルの作品を任されるだけあって、彼の美声と表現力は、私たち聴き手を引きつける力があります。また、彼のナレーションは発音がはっきりしていて、スピードも速くなく、日本人にもとっても聴き取りやすいです。口調も暖かく、もっと聴き進めたい!という気持ちになるので、本当におすすめです!
Hitchhiker’s Guide to the Galaxy 銀河ヒッチハイクガイド
『Hitchhiker’s Guide to the Galaxy 銀河ヒッチハイクガイド』はイギリス発のSFコメディ作品です。
本作はもともとBBCのラジオドラマとして大人気となり、そこから小説化や映画化がなされ、イギリスを飛び出し世界中で楽しまれています。銀河ハイウェイ建設工事のため、通り道にある地球が取り壊されてしまったり、生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答えを求めたり、簡単に750万年が経過したり、宇宙人がいたりと、めちゃくちゃな設定が最高におもしろいです。
ちなみにGoogleで「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答えは?」と検索すると、隠しコマンドとして、ちょっと変わった検索結果が出てきます。これは本作品がGoogle神にも認められている証拠であり、本作品の地位の高さが伺えます。
また、本作のナレーションは『ハリー・ポッター』や『シャーロック・ホームズ』など、イギリスの国民的作品も担当しているスティーブン・フライが選ばれていて、この点からも『銀河ヒッチハイクガイド』の人気の高さがわかります。
めちゃくちゃな設定や展開ゆえ、こちらの常識が意味をなさないので、その点では理解が難しいと言えますが、逆にそこが魅力だとも私は思います。よくわからない宇宙の物理法則や、宇宙船の特殊能力は難解ですが、それはただのギャクなので、まともに理解しようとするのは野暮だと思います。細かいことは右から左に受け流し、ギャグとしてとらえれば、わからないことさえ楽しむことができます。
もともとはBBCのラジオだったことと、スティーブン・フライの名ナレーションを理由に、活字で読むより、Audibleで聴くことをおすすめしたい作品です!
Anna Karenina アンナ・カレーニナ
世界文学の名作中の名作。大長編としても有名で、読むのは大変ですが、Audibleならもっと楽に楽しめます。長い作品こそAudibleの出番だと私は思っています。
内容は、トルストイさんは人間の感情の機微をしっかり書いてくる所が本当に凄いと思います。『戦争と平和』もですが、「書ける=それ以上に人間を観察している」ということですから、ちょっと怖いレベル。
英語は、私が勝手に上げていたハードルほど難しくありませんでした。長い=難しいではなく、長さはただの長さでしかないわけで、よく考えれば当たり前なんですけどね。英語は意外にわかりやすいので、Audibleのサンプルでぜひ試し聴きをしてみてください。
中級者と上級者ではリスニングの体力にも差があると思いますので、体力を考慮して上級者向けとしましたが、英語自体は中級と思いますので、体力に自信のある方は、ぜひチャレンジしてみてください。
最後に、『アンナ・カレーニナ』の有名な書き出しを以下にディクテーションしてみました。
Happy families are all alike. Every unhappy family is unhappy in its own way.
幸せはみんなナカーマの複数形、不幸はそれぞれで単数形。単複の違いでこれを表現できる英語のこういうところが好きです。名文は英語に翻訳しても名文ですね。
こんな名文で始まる世界文学の名作を、Audibleで楽しんでみませんか?
本作は35.5時間の大作なので、シンプルにこれだけの量を聴き終わった後は、リスニング力の向上を感じられるかも?(私はそう感じました。楽しんで聴いていただけなのに、結果的にリスニング力が向上するなんてラッキー!笑)
The Queen’s Gambit
昨年のコロナ渦で世界中で社会現象となった、Netflixのミニドラマ『クィーンズ・ギャンビット』(全7話)の原作です。著者は日本ではあまり知られていませんが、映画『The Hustler』などの代表作のある米国人作家。
約40年前のリリース当時(1983年)は話題にならなかった作品でしたが、ドラマの驚異的な成功により、2020年のニューヨークタイムズのベストセラー入りとなりました。ドラマ版はスリラー界の巨匠スティーブン・キングをはじめとする辛口コメントで知られる各界の有名人たちをも虜にした作品と言われています。
かなり簡単に言えば、1950年代の冷戦時代に幼くして孤児となった主人公の少女がチェスの才能を開花させていく成長物語。
一風変わった女の子のお話といえば、『Anne of Green Gables(赤毛のアン)』などのホンワカしたものを彷彿させるかもしれませんが、
本作は薬物やアルコール中毒依存などのハードな問題を混じえながら、栄光→挫折→復活と男性優位のチェスの世界でチャンピオンになるまでのアップダウンのある青春を描いていきます。
タイトルの由来はチェスの一手のひとつで、序盤で優位に立つ方法のこと。ちなみに、アメリカでは昨年のホリデーシーズンではチェスがバカ売れし、空前のチェスブーム到来となったそうです。
ドラマにハマったひとりとして原作を聴いてみましたが、正直なところ大きな違いはありません。しかし、あっさりと淡々とした文体でありながら、手に汗握る緊迫した対局シーンや主人公のグラグラと揺れ動く心情描写(感情の起伏)は原作の方が面白く、主人公がより魅力的に感じました。
チェスの知識がなくとも十分に面白い作品ですが、原作では分からない人にはピンとこない場面も出てくるので、ドラマを先に鑑賞しておくともっと楽しめるはず。映像化されると原作の質が落ちてしまいがちですが、どちらも甲乙つけがたいほど見事なエンタメ作品です。
ドラマ鑑賞された方であれば初〜中級でも問題ないと思いますが、少しナレーターの声が聞き取りづらいため未鑑賞であれば上級者向けです。
Dear Girls
米国で大ブレイク中のアジア系コメディアンの自伝兼、人生指南書です。著者は日本での知名度はほぼありませんが、2020年のタイムズ誌の「世界でもっとも影響力のある100人」にも選出。本作は2019年のニューヨークタイムズのベストセラーの1冊です。
全8章の本作は、コメディアン、女優、妻、母親業などと何役もこなす著者が、幼い娘へ贈る手紙という体裁ですが、実のところ完全なR指定の内容でかなり過激。ガールズトークな話が苦手な男性などの保守系リスナーには、耳を覆いたくなるような下ネタも満載なのでご注意ください(笑)。
結婚、セックス、アジア文化、女性のキャリア向上などへの不安や懸念を、実体験を基に「タメになる話!?」として明かしていきます。その言葉選びが「一流コメディアン」でしか表現できない巧さがありますので、大人の英語習得(良い意味でも悪い意味でも)の一貫としてもおすすめです。
スタンダップコメディにありがちなステレオタイプの語り口ではなく、独自のフィルタリングを通して微妙なライン(下品になりすぎない)で愛と笑いに消化させていく手法はお見事。欧米の差別的なユーモアセンスに共鳴できないリスナーにも、本作はおすすめです。Audible作品には、本人によるツッコミたっぷりのナレーションに加え、彼女の定番ネタである「高学歴なのに稼ぎが少なく、ほぼ専業主夫」な旦那様(日系米国人)による”後書き”朗読も特典として収録。こちらもかなりおもしろいです。
Kitchen Confidential: Adventures in the Culinary Underbelly
セレブシェフであった著者による、料理業界の裏話を赤裸々に綴ったノンフィクション&自伝です。この作品の大ヒットにより、著者は後にテレビタレント(代表的な番組『No Reservation (アンソニー世界を喰らう)』など)や作家としても有名になりました。
大学を中退してまで料理界に入ったユニークな背景(モテたいという不純な動機)から、ハイエンドと呼ばれる高級店での仕入れのカラクリ、本人を含むアルコールや薬物にハマる料理人の実態などのゴシップ的なものから、
運営にまつわるコツなどビジネス書的なところまで描いており、業界を知らない人にも興味深いと思わせるトピックが盛りだくさんです。
まさに「Sex, Drugs&Rock’n Roll + Cooking」なカオスな内容ですが、グイグイと惹きつけられる犯罪小説のようでおもしろいです。
全編にわたり、スラングや下品で猥雑な表現が多いので、苦手意識を持つリスナーもいるかもしれませんが、約20年前のベストセラーなのに今でも色褪せない魅力があります。
個人的には米国の料理界のショッキングな実情にも驚かされましたが、交流のあった有名シェフたちをはじめとする本作の登場人物の誰もが粗野で破天荒でありながら、不思議とチャーミングなのが印象的でした。
上記の番組を知っている方であれば、著者本人によるAudible作品は毒舌混じりの語り口をかなり楽しめます。
続編『Medium Raw: A Bloody Valentine to the World of Food and the People Who Cook』も本作と比較するとインパクトには少々欠けますが、おもしろいです。
A Promised Land 約束の地
アメリカ史上初の黒人大統領の回顧録。世界史的に重要な人物の本として私は興味がありました。しかし、活字は750ページの大作なので気軽には手を出せません…そんなときこそAudibleです!もちろん本人朗読。力強く良い声でした(ミシェルさんの声も同じく良い声でした)
具体的な内容は、幼少期から国会議員になり大統領になるまで、そして大統領就任前に起こった金融危機(リーマンショック)の対応(グリーンニューディール)、オバマケア、ティーパーティー運動、ノーベル平和賞受賞、ビンラディン殺害など、第一期オバマ政権を振り返ります。
正直、政治的ニュースには疎いので、本作で第一期オバマ政権をおさらいできて大変勉強になるとともに、大統領本人にしか語れない舞台裏をとても興味深く聴きました。
ここでは特に印象に残ったこととして、以下の2つをご紹介したいと思います。詳細やその他はぜひ本作を聴いてみてください。
- 政治家に立候補するには大金が必要、落ちたら無職、当選しても借金が残る。でも子供は2人作る。大統領選は家族への負担が更にエグい。しかも黒人というハンデつき。メンタルがバグってないとこの賭けはできない…
- 2008年の大統領選とその前の党内予備選挙、最大の敵は対立候補ではなく黒人への差別や偏見だった(リンカーン、ケネディ、キング牧師、レーガン、ジョンレノン、他の人も撃たれてる)大統領になったら撃たれるかも?夫を失うくらいなら選挙に負けた方がいい…
Queen of Our Times
イギリスのエリザベス女王2世の伝記です。
彼女は70年もの在位期間で多くの人々と人生の一時期を共有したみんなの女王。彼女の人生から世界史が見えてきます。
直近5人の王/女王の仕事は国の拡大(他国の征服)最低でも維持だったのに対し、彼女の仕事は国の縮小、統治権の平和的移転だったそうです。
また、ヴィクトリア女王は好戦的、積極介入、ノスタルジックだったけれど、エリザベス女性はソフトで過去より現在のリアリストだったなど、前女王との対比も興味深いところ。
仕事が好きで、真面目で責任感があり、普通の人が引退する年齢を超えても仕事をした女王。そんな女王が公務中に1回だけ10秒だけ居眠りしてしまったエピソードには笑いました。それは仕方ない、誰でも寝ます(笑)
伝統ある王室はNoが基本だけど、女王は新しいことが好きで、ロンドン五輪開会式での007との共演オファーは即決、「Good Evening, Mr. James→Mr. Bond」と台詞もリライトしたなどの舞台裏も明かされます。
王室ギャラリーの中で好きなのはレンブラントの『船大工とその妻』。アートのパトロンとして誇りを持ち、自分の好みじゃない作品でも人が楽しんでくれたらうれしいと思う人だったそうです。
直近の現代史のおさらい、ヴェールに包まれていた王室の舞台裏、みんなに愛される女王の人柄、これらに興味のある方には楽しめる作品になっていると思います。
また、ネトフリの『クラウン』は正確性に多々疑問あるらしく鵜呑みにしないようにとのこと。フィクションと事実を区別したい方は、イギリス王室公認のこちらの伝記がおすすめです。
No Longer Human 人間失格
太宰治の『人間失格』の英語版(Donald Keene訳)です。言わずと知れた日本文学の名作中の名作で、1948年の発表以来、今でも売れ続けている大人気作品。最近では、ピース又吉直樹さんの愛読書という印象もあるかと思います。
ざっくりの内容は、幼い頃から本当の自分を他人に見せることができず、道化を演じ続けてきた主人公が、それに耐えられなくなり酒、煙草、薬、女などに溺れて行き、最終的に自殺する男の話です。その内容は本人によって第一の手記、第二の手記、第三の手記に記録されていて、それが語り手の視点で書かれた「はしがき」と「あとがき」でサンドイッチされる構成になっています。
はしがきの「I have seen three pictures of the man 私は、その男の写真を三葉、見たことがある」
第一の手記の「Mine has been a life of much shame 恥の多い生涯を送って来ました」
第三の手記の「Now I have neither happiness nor unhappiness いまは自分には、幸福も不幸もありません」「Everything passes ただ、いっさいは過ぎていきます」
これらは特に有名な文で、それがどのように英語に翻訳されているのか、興味を持って聞くことができました。
語彙レベルはやや高めで、聴き取り解像度は普段の平均以下になってしまいましたが、もともと日本語版を読んだことがありおおよその内容を把握していたことや、性格的に完璧主義ではないところもあり、十分楽しめたかなと思います。
驚いたことに、2022年のアメリカで『人間失格』がヒットしているという記事も見受けられます。洋書と言えば海外作品となるのが普通ですが、日本文学にも名作はたくさんあるので、たまには日本文学の英語版もいかがでしょうか?
Sherlock Homes The Definitive Collection シャーロック・ホームズ全集
本作はイギリスの推理小説作家アーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズを全作品収録した完全版です。
事実かどうかは不明ですが、『シャーロック・ホームズ』シリーズは聖書に次ぐベストセラーと称されることも多く、初登場から100年以上経った今でも世界中で愛されています。
『シャーロック・ホームズ』シリーズはそれだけの作品なので、有料無料で様々なバージョンがあります(現代風の英語にアレンジされたアメリカ英語版さえも)。
それぞれに話すテンポ、リズム、アクセントも異なるため、自分好みの「声」で選んでいただくのが一番だと思います。
私のおすすめはスティーヴン・フライ(イギリスの俳優、作家、ジャーナリスト、コメディアン、司会者、映画監督)がナレーションした本作です。
70時間以上もある全集ですが、ホームズの世界観(19世紀のイギリス)を壊すことなく、クセのない英語で聴きやすいです。また、ナレーションから登場人物まで声色を絶妙に使い分けているので、飽きずに聴け続けられる点も魅力的です。
そんなフライ版は、活字派だった私をAudibleへと目覚めさせた作品のひとつとなりました。本作はWinner of Audible’s 2017 Members’ Choice Awardも受賞しています。
当時の英語は現代的ではない部分もあることはお伝えしておく必要がありますが、日本でも馴染みのある作品ばかりなので、物語には入り込みやすいです。
すでに知っている作品、あるいは好きな作品から聴きはじめるのが良い入口になりますよ。「じっくり聴く」というより、移動中や家事をしつつの「~ながら」の”耳慣らし”にも向いています。
ホームズ作品に少しでも馴染みがあれば、この全集シリーズは「流し聴き専門」として、初級者の方でも軽い気持ちで挑戦できるはずです。ホームズ作品を読んだことがなかったり、細部までしっかり理解したい人は、中級者向けとして聴いてください。
ちなみに本作は、合計70時間以上の全集 = 1万円以上! なので、「聴き放題」の30日間無料体験はもちろん、有料会員(サブスク費用=月額1,500円)であっても、大変お得です!
付録:Audibleのここがおすすめ!
再生速度の調整、巻き戻し/早送り、ブックマーク機能がある
Audibleは再生速度の調節(↑の「Speed」)ができるので、リスニングに自信がない人も安心して始められます。
特定の場所を聴き直したいとき、探したいときは、巻き戻し/早送り機能が便利です。
ブックマーク(↑の「+Clip」)機能を使えば、メモしたい場所も記録できます。
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「聴き放題」サブスク会員は30%オフでお得
Audible「聴き放題」のサブスク会員は、30%割引で作品を購入することができます。
「聴き放題」の対象じゃない作品や、個人的に所有したい作品がある場合は、この30%割引はとてもお得。
私はこの30%オフにまんまと乗せられて、サブスク費用の元をしっかり回収したい気持ちと併せて、欲しい作品をガンガン購入しています(笑)
この記事は以上です。
最後までお読みくださりありがとうございました。
あなたと本がともにありますように!
May The Books Be With You!
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