動物農場:あらすじ・原書で読んだ感想・考察 ジョージ・オーウェル

動物農場:あらすじ・原書で読んだ感想・考察 ジョージ・オーウェル イギリス

『動物農場』とは?

動物農場
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Orwell Collection: Animal Farm & 1984
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※オーディブル版は日本語版も英語版も聴き放題対象です!

『動物農場』はイギリスの小説家ジョージ・オーウェルさんが1945年に発表した中編小説です。

動物を人間に見立てて全体主義を風刺した御伽噺であり、原書にはa fairy storyの副題が付いています。

豚のナポレオンとスノーボールはスターリンとトロツキー、農場の反乱とその後はロシア革命とソビエト連邦に対応していることでも知られています。

『動物農場』は『1984年』とともに、ジョージ・オーウェルさんの代表作として、今なお読み継がれている名作です。

『動物農場』のあらすじ

農場主ジョーンズによってずさんに管理されている農場では、動物達の不満が溜まっていました。ある夜、動物達の集会で、みなから尊敬されている雄豚メージャー爺さんが演説を始めます。その内容は、動物たちの自由と平等を謳い、農場で革命を起こし人間を追い出そうというものでした。集会の最後は、革命歌『イングランドの獣(Beast of England)』の大合唱が起こります。

やがてメージャー爺さんが亡くなると、雄豚のナポレオンとスノーボールがリーダーとなり、革命はあっさりと成功。農場は『動物農場』と改名され、動物主義(Animalism)の7つの掟(7 Commandments)が宣言されます。その中で最も重要なのは、7つ目の掟「すべての動物は平等である(All animals are equal.)」というものでした。7つの掟は納屋の壁に大きな文字で書かれます。

動物達による理想の国が建国されたかに思われましたが、豚達はその知能の高さを理由に他の動物達よりも良い生活をするようになります。やがて、ナポレオンとスノーボールが意見の違いから対立。スノーボールは多くの動物達に慕われていましたが、ナポレオンに調教された犬達によって農場を追い出されてしまいます。

こうして動物農場ではナポレオンによる独裁が始まります。7つの掟も少しだけ変更され、最終的には以下の1つに簡略化されることとなりました。

「すべての動物は平等だが、一部の動物はさらに平等」

“All animals are equal, but some animals are more equal than others”

『動物農場』の感想・考察

歴史とのマッピングに対する違和感

『動物農場』は歴史や実在の人物と対応していることで知られており、代表例は以下のとおりです。

  • メージャー爺さん:レーニン
  • ナポレオン:スターリン
  • スノーボール:トロツキー
  • ナポレオンの犬達:秘密警察
  • 農場主ジョーンズ:ロシアの貴族、地主、資本家
  • 卵を要求される雌鶏達:ウクライナ
  • 羊達(ナポレオン支持):コムソモール(共産主義青年団:党に協力するボランティア組織)
  • 雄ロバのベンジャミン(動物主義やナポレオンvsスノーボールの対立からは距離をとる):ロシアの知識人達
  • 農場の反乱:ロシア革命
  • 革命後の国:ソビエト連邦

『動物農場』を歴史とマッピングできると、なんとなくわかったような気がして満足感が得られますが、今回の再読ではそこに違和感があり、現実との対応はあまり重要じゃない気がしました。その理由は次に続きます。

ミヒャエル・エンデの言葉

歴史とのマッピングに対する違和感の理由を考えてみると、ミヒャエル・エンデさんの言葉が思い出されました。

エンデの遺言:ファンタジーとは現実から逃避したり、おとぎの国で空想的な冒険をすることではありません。ファンタジーによって、私たちはまだ見えない、将来起こる物事を眼前に思い浮かべることができるのです。私たちは一種の予言者的能力によってこれから起こることを予測し、そこから新たな基準を得なければなりません。」

モモ:「わたしは今の話を、」とその人は言いました。「過去におこったことのように話しましたね。でもそれを将来おこることとしてお話ししてもよかったんですよ。わたしにとっては、どちらでもそう大きなちがいはありません。」

モモ
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そんなわけで、『動物農場』が現実と対応していてもいなくても、どちらでもそう大きな違いはないなと思ったわけです。

このことは、人が小説を書く理由の一つや、小説の存在意義の一つにもなっていると思います。

自分はどの動物か?

『動物農場』に登場する様々な動物達の中で、自分の性格や言動はどの動物に似ているかを考えてみるのも面白いかもしれません。

理想的には、動物達の英雄、雄馬のボクサーと言いたいところですが、現実的には、リスクのあることとは距離をとる雄ロバのベンジャミンや、怠け者の雌馬のモリ―が一番自分ぽいような気がしました…。

『動物農場』その他メモ

『動物農場』が執筆された当時、世界はWW2の真っ最中で、イギリスとソ連は連合国の
関係(対ナチスドイツ)にありました。

そんな中、イギリスの出版社4社(T.S.エリオットがDirectorの会社も含む)は『動物農場』に出版を見送られたそうです。

また、アメリカの一部地域では1960年代から2010年代まで(もしかしたら今もどこかの州で)、禁書なり問題のある本とされた(されている)そうです。

当時から代表的先進国だったイギリスやアメリカでもこういうことがあるのだなと、意外かつ残念に思いました。

また、『動物農場』は商業的には成功しましたが、内容は作者が経験していないことをステレオタイプに基づいて書いたという批判もあったらしいです。でもエンデの理論(前述)を採るならこの批判は不当かなと思います。

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