ジャズ・エイジの物語(メイ・デイ、リッツ・ホテル~を収録)原書で読んだ感想(スコット・フィッツジェラルド2nd短編集)

ジャズ・エイジの物語_スコット・フィッツジェラルド アメリカ
スコット・フィッツジェラルドの全長編&短編集を原書で読んだ感想・考察
感想・考察の根拠には、スコット・フィッツジェラルドさんのエッセイや手紙、ヘミングウェイさんの視点、映画、ドラマなど、アクセスできるものを可能な限り利用しました。

この記事は↑のまとめ記事から切り出した詳細記事です。

短編集『ジャズ・エイジの物語』とは?

『ジャズ・エイジの物語(Tales of Jazz Age)』は、1922年に発表されたスコット・フィッツジェラルドさんの2nd短編集です。

「ジャズ・エイジ」という時代の名前は、この短編集から生まれたため、時代を作った短編集と言っても過言ではないでしょう。

短編集『ジャズ・エイジの物語』の日本語版

残念ながら、『ジャズ・エイジの物語』の日本語版はありません。↑はタイトルが同じなのでひっかかりやすいですが、収録作品は原書とは異なるのでご注意ください。

原書『Tales of Jazz Age』の中で有名な作品は、『メイ・デイ(May Day)』、『リッツ・ホテルほどもある超特大のダイヤモンド(The Diamond as Big as the Ritz)』、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生(The Curious Case of Benjamin Button)』です。

『メイ・デイ』と『リッツ・ホテルほどもある超特大のダイヤモンド』は、この岩波文庫版に収録されています。

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は、この角川文庫版に収録されています。

ただし、スコット・フィッツジェラルドさんの短編にはtrash(=ゴミ[本人の言葉])も混ざっていて、個人的には『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は有名なだけであまり名作とは思えず、この短編集はあまりおすすめできません。

個人的には、名作を選りすぐっている岩波文庫版がおすすめです。

短編集『ジャズ・エイジの物語』を原書で読んだ感想

以下、『ジャズ・エイジの物語』を原書(Tales of Jazz Age)で読んだ感想を簡潔にまとめてみました。個人的なメモではありますが、何等か参考になれば幸いです。

The Jelly-Bean

1st短編集収録の『The Ice Palace 氷の宮殿』の続編(と言うほど繋がりはないけど、同じ舞台[架空の街Tarleton]で同じ人物が何人か再登場)。Jelly-beanとは「怠け者」の意味で、貧しい男が美人で破天荒なフラッパーとパーティーで交わって…1st長編と短編集からずっと読んでくると、このテンプレ的設定、正直もうええねん!って飽きてきます…

The Camel’s Back

ある男がラクダの衣装で間違って別の仮装パーティーに行く話。この衣装は顔が見えない2人用(もう1人はタクシー運転手)で動きは不自由。パーティーには喧嘩中の彼女も来ていて…スコット・フィッツジェラルドさん的にはこの短編集で一番好きじゃない作品らしいですが(英語版Wikipedia)、私的にはかなり面白かったです。

May Day メイ・デイ

1919年May Day (5/1)の暴動を含む、同時期の互いに関係のない3つの出来事を1つにまとめた作品。これらを唯一結びつけるのはジャズエイジの始まりとなるヒステリー。いつもの設定(haves、have-nots、派手なパーティー、バッドエンド[※暴動は新要素])からスコット・フィッツジェラルドさんらしさはある作品。

Porcelain and Pink

戯曲風の短編。磁器Porcelainの青い浴槽と、頭と喉だけが見えてる入浴中の女性Pink。女性はタオルと服を忘れていて、そこにデート前に入浴したい姉が来て…いつもと違う作風で楽しめました(逆に言うと、そこに加点するくらい、いつものパターンに飽きている自分に気づきました…)

The Diamond as Big as the Ritz リッツ・ホテルほどもある超特大のダイヤモンド

スコット・フィッツジェラルドさんが自分が楽しむ為に書いた作品で現実離れした設定に振り切っているのが特徴。リッツカールトンホテルより大きなダイヤモンド(作品名では同等なのが謎)を持つ世界一の大富豪が危機に陥り神の買収を試みる。過去を復元したいという骨子に3rd長編『グレート・ギャツビー』の萌芽が感じられます。

The Curious Case of Benjamin Button ベンジャミン・バトン 数奇な人生

マーク・トゥウェインさん(人生最高の時が最初に来て最悪の時が最後に来るのは残念)に着想を得て約70歳で生まれ若返って行く男の話を実験的に書かれた作品。発想は面白いし人間この設定ならこうなりそうっていう納得感もありましたが、それ以上でも以下でもなく、読んでいて楽しいタイプの作品ではないと思いました。

Tarquin of Cheapside

タークインさんはローマを追放された残虐な王、チープサイドはロンドンの街路。読書中の男の家に突然逃亡者が来てひとまず匿って追跡者を撒く。彼が逃げる理由は?紙とペンをくれれば最も面白い物語を書いて説明すると言う。夜が明けてできた原稿を読むと…

O Russet Witch

平凡な男性と破天荒な女性(髪がRussetあずき色)の半生。彼は常識的に生きて老いてもう手遅れになったことに気づき後悔する。彼女は自由に生きて人生を楽しんだ。常識的に生きて天国に行けたとしてそれで満足?天国への入場券が後悔ならボクは地獄に行きたいと思いました。

The Lees of Happiness

若くて幸せな新婚生活が夫の脳梗塞で突然崩壊。寝たきりで死ぬまで10年以上を妻が献身的に介護する。なぜそこまでするのか?彼女の回答は引用参照。そして彼女は36歳。これからどうする?「lees」の意味を調べると「沈殿物、おり、かす」。作品名が天才だと思いました。

I can love what it was once. What else is there for me to do?
私は過去を愛すことができる。私がすることとしてそれ以外に何がありますか?(いや、ない)

Mr. Icky

Icky(不快な)は農家の父のことで、子供達は実家が嫌い。国にとって農業が重要なのはわかるけど自分ではやりたくない。そして子供達は家を出て行く…残された父が切ない…何の為に書いたのだろう?時代の空気を切り取るため?派手なパーティー三昧に釘をさしている?

Jemina, the Mountain Girl

山中の小川を隔ててT家とD家のウイスキー蒸留所がありお互いに憎み合っている。T家の娘Jeminaはとある来訪者に恋をするが2人は両家の争いに巻き込まれ…10分で読める短い話。たぶん意味はなくてただの娯楽用と思いました。

次作3rd短編集『若者はみな悲しい』の記事はこちら

若者はみな悲しい(リッチ・ボーイ、冬の夢を収録)原書で読んだ感想(スコット・フィッツジェラルド3rd短編集)
『若者はみな悲しい(All the Sad Young Men)』は、1926年に発表されたスコット・フィッツジェラルドさんの3rd短編集です。本作には『The Rich Boy リッチ・ボーイ』や『Winter Dreams 冬の夢』など評価の高い作品も収録されています。

スコット・フィッツジェラルドさんのまとめ記事はこちら

スコット・フィッツジェラルドの全長編&短編集を原書で読んだ感想・考察
感想・考察の根拠には、スコット・フィッツジェラルドさんのエッセイや手紙、ヘミングウェイさんの視点、映画、ドラマなど、アクセスできるものを可能な限り利用しました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました