ナイン・ストーリーズとは?
『ナイン・ストーリーズ(Nine Stories)』は、1953年にアメリカで出版された、J.D.サリンジャーさんによる短編集です。
収録されているのは、以下の9作品。
- バナナフィッシュにうってつけの日 A Perfect Day for Bananafish
- コネティカットのひょこひょこおじさん Uncle Wiggily in Connecticut
- 対エスキモー戦争の前夜 Just Before the War with the Eskimos
- 笑い男 The Laughing Man
- 小舟のほとりで Down at the Dinghy
- エズミに捧ぐ――愛と汚辱のうちに For Esmé—with Love and Squalor
- 愛らしき口もと目は緑 Pretty Mouth and Green My Eyes
- ド・ドーミエ=スミスの青の時代 De Daumier-Smith’s Blue Period
- テディ Teddy
サリンジャーさん本人が自信作を選抜しているだけあって、どれも素晴らしい作品です。
全体的な印象として、特にサリンジャーさんの書く子供が好きだなと個人的には思っています。
この記事では、9作の中で最も重要かつ有名な『バナナフィッシュにうってつけの日 A Perfect Day for Bananafish』に絞って書いていきます。

ナイン・ストーリーズの感想・考察
バナナフィッシュにうってつけの日 A Perfect Day for Bananafish
長男シーモア・グラース(Seymour Glass)が初登場
本作は、グラース家の最重要人物である長男シーモア・グラース(Seymour Glass)が初登場する作品として知られています。
また、『ナイン・ストーリーズ』でも一作目という特別なポジションが与えられていることから、一連のグラース家作品の中でも特に重要な作品と思われます。
作品の舞台
1948年のフロリダ州のホテルとそのビーチで、第二次世界大戦が1945年に終わったからか、楽しい時代が始まった感があります。
バナナフィッシュとは?
バナナフィッシュとは作者が創作した架空の魚です。
“Well, they swim into a hole where there’s a lot of bananas. They’re ordinary looking fish when they swim in. But once they get in, they behave like pigs. 略”
→ブタのように振るまう
“Well, they get banana fever. It’s a terrible disease.”
→バナナ熱は酷い病気
作中にはないけど「go bananasで、頭がおかしくなる、気が狂う、(機械などが)駄目になる」という意味もあります。
▶︎これらのことを総合すると、バナナフィッシュは悪い魚で、作品名や舞台を考えると、ホテルのビーチで楽しく過ごしている人々をバナナフィッシュに例えて批判していると思われます。
(たぶん戦争で)メンタルを病んでいるシーモアと、そんなこと全く気にしていないバナナフィッシュ達が対比されているのだと思います。
See more glass(もっと鏡を見て)
「See more glass」は、Seymour Glassにかけて、何度も繰り返される台詞です。
シーモア・グラースを鏡として、読者や社会に自分を見つめ直してほしいと訴えているのでしょうか?
ファミリーネームがグラースなのも、子供達をガラス細工のようにフラジャイルでイノセントに書いたことと関係しているのかもしれません。

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